零細起業の経営実務(35)カフェ開業を体験する
飲食業は一見ハードルが低そうに見えて、廃業率が一番高いと言わ
れるほど実は難しいそうです。なので、私には無理だな、でもちょ
っとならやってみたいなとひそかに思っておりました。
そこへ、友人で美食同玄米大使でもあるベジフルボディデザイナー
moccoさんが、レンタルスペースを使った期間限定のカフェイベン
トを開催するということになり、願ってもないチャンス!と見学し
てきました。
「Cafe de mocco cocoroとkaradaに優しい食卓」
平成30年2月21日(水)〜25日(日)11時〜19時
@カフェギャラリールーマー
東京都世田谷区祖師谷1-34-5
(小田急線 祖師谷大蔵駅より徒歩5分)
住宅街の一角にある南欧風のおしゃれな建物に入ると、まずギャラ
リースペースがあり、奥にカフェスペースとキッチンが。
ナチュラルな素材のテーブル席とカウンターで、計25席くらいでし
ょうか。2階には、お教室などができるお部屋もあるそうです。
ギャラリーには物販用の洒落た展示棚があり、moccoさんがセレク
トした食材が並ぶ中に、美食同玄米もしっかり登場していました。
開店の30分前に着いたところ、moccoさんと、助手のマー君(大学
生)が準備真っ最中。
手を動かしながら、「昨日は大変だったのよ!」。
初日となった前日は、同時にお客さんがヒト12名イヌ14匹いたとか
(ルーマーはドッグカフェなので)。
取材まで入り、休むどころか、水を飲む暇もなかったそうです。
今日は余裕があるわ〜、と言いながらも、お昼時になるとかなりの
お客様がご来店。このイベントを目当てに来た方ばかりではなく、
何かやってればお昼を食べにくる常連さんも。となると、イベント
の趣旨や食材のこだわりについて説明したりして、それもまた忙し
い。
私がいただいたのは、スペシャルランチプレートと、待つ間にとお
ススメされたこだわりのお味噌汁。
デザートに長崎のかんきつ「ゆうこう」とりんごを使ったカステラ
と、そのぎ和紅茶です。
追加で長崎のヤキリンゴという菓子パンを5個、おみやげに購入し
て、全部で3200円でした。
さて、レンタルスペースを利用した期間限定オリジナルカフェ運営
のノウハウについて、わかったことをまとめてみます。
☆カフェ開業を体験できるレンタルスペースはどのくらいある?
→最近、都内では日割りで貸してくれるキッチン付きのレンタルス
ペースが増えているそうです。
飲食業経験者であることが前提のところもありますが、初めてでも
相談に乗ってくれるところもあるようです。
☆どんな準備が必要か
→レンタルスペースの確保と契約内容の確認。
提供するメニューや物販の内容と値段を決める。
食材や商材の手配。
バイト探しと事前教育・打ち合わせ。
一連のサービスの流れのイメトレ・修正。
メニュー表、物販品の価格表示、看板(POP)などの製作。
ウェブサイト、ブログ、Facebook、インスタなどでの宣
伝・周知、友人への個別のお誘い(これが一番大事かも)。
お釣りの用意。料理の仕込み。
・・・などなど。様々な、かつ周到な事前準備が要るようです。
☆人を雇う必要はあるか
→見ていて、料理・配膳・接客ができる(要するに右腕になれる)
助手は絶対に必要と思いました。
友達やお世話になった人が来店したときに、応対できる余裕がない
とがっかりされます。
わざわざ来てくれた人に楽しんでいただけなければ、がんばる意味
がないですよね。人件費は高いですが、必須の経費でしょう。
☆カフェと並行して物販するメリットとデメリット
→セレクト品を並べることで、カフェのコンセプトがより明確にな
ります。おみやげとして購入していただければ顧客単価が上がり収
益を確保しやすくなりますし、お客様の満足度も上がります。
一方で、お客様の質問に対応したり、お会計や包装をしたり、品物
を補充したり、展示の乱れを整えたり、といった作業が生じ、時間
と手間を取られ、忙しくなりそうです。
☆費用はどのくらいかかるのか
→キッチン付きのスペースを5日間通して借りる場合、5万円〜が目
安のようです。
調理器具や食器、什器を借りる費用(無料の場合も)。
食材や商品の仕入れ代と運び込む(送る)費用。
助手の人件費。
開催場所までの往復交通費。
その他の諸雑費。
必要なお金はそんなところでしょうか。
☆利益は出るのか
→そもそも利益を出すのが目的なら、レンタルスペースでのカフェ
はコストが高すぎ。実際には持ち出し覚悟だと思います。
それでも開催する意味は、自己実現であったり、人脈の形成であっ
たり、有機的な宣伝であったり、本格的なカフェ運営の予行演習で
あったり。
お金に代えられない価値があるから、挑戦する意義があるのだと思
います。
おしゃれなレンタルスペースを使った、期間限定のカフェイベント。
成功の鍵は、SNSやリアルなつながりを活用した事前のお誘いや宣
伝をマメに行うこと、さらにその前に、多くの「友達」との間に信
頼関係を築くこと、そして訪れてくれる友達の期待を裏切らないも
てなしを全力ですること、だろうな・・というのが、今回見学した
私なりの結論です。
自分なりの工夫を凝らして企画・運営するのは楽しそうですし、計
画中のメニューや商品のテストマーケティングとしても使えそうだ
と思いました。いつか、リーゾでも「美食同玄米カフェ」、やって
みる日がくるかもしれません。
蛇足ですが、祖師谷大蔵は想像していたより下町っぽく、親しみの
もてる街でした。カフェのすぐ近くに「木梨サイクル」(とんねる
ず木梨憲武さんのご実家)が、ごく普通にありました。
(2018年3月7日配信のすいすい通信より)
「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html