つゆ草 偏愛
手折れば指は濡れるでしょう
ほんのり爪も染まるでしょう
それは小さな青でしょう
たったふたつの青でしょう
貝殻みたいな蕾でしょう
音もたてずに咲くのでしょう
夜には花も萎えるでしょう
だあれも気には留めぬでしょう
足は沈む 草の匂いに
目は滲む なすすべもなく
手折れば胸に染みるでしょう
玻璃のうつわに飾りましょう
しずくはそっと落ちるでしょう
跡はなかなか消えぬでしょう
ときどき夢にも見るのでしょう
忘れることはできぬでしょう
誰にも言えずにいるのでしょう
本当のことは何処でしょう
手折れば指は濡れるでしょう
拭えず濡れたままでしょう
それは小さな青でしょう
たったふたつの青でしょう
水にも滲まぬ 青でしょう