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気になるヒト

食の世界のロックスター、それって誰?

ニューヨーク・タイムズ紙にこんな風に評された人がいます。

"one of the unlikely rock stars of the American food scene."

「アメリカにおける食の世界のロックスター」と呼ばれるなんて、どんな人かと興味をそそられませんか?

その人とは、Sandor Ellix Katz(サンダー・エリックス・キャッツ)さん。

興味を持てばつながっていく

発酵に興味を持つようになっていろいろなサイトやSNSを見ていたら、この人の名前が頻繁に登場するのです。気になって調べたら、日本語でちゃんとわかりやすく説明してくれているサイトがありました。しかもnoteで。

このnoteの投稿に触発され、私も「サンダー・キャッツの発酵教室(A DO-IT-YOURSELF GUIDE TO CULTURAL MANIPULATION)」をさっそく購入。

サンダー・キャッツさんは、発酵の世界、特にアメリカでは有名人。詳しくは上記noteを読んでいただくとして、私はこの本を読んでさらに彼に興味を持つようになったのでした。

ザワークラウトでもご縁を感じたけれど

もちろん、私が発酵にハマるきっかけになった「ザワークラウト」で有名な人(ザワークラウトが大好きで作り続けていたら、名前をもじって「サンダークラウト」というニックネームがついたようです)というところにご縁を感じたのもあります。

でも、伝統的な食文化に敬意を払いながらも、発酵を料理や健康への効用のみを通じて語るのではなく、「発酵を通じて社会に変革を・・・」と(なにせロックスターですから)、発酵にちょっと思想的な意味合いを持たせている。なんだかカウンターカルチャー的な匂いがする、そんなところに、ますます私は惹かれているのです。

東京でもサンダー・キャッツさんのワークショップが一度開催されたとのこと。行きたかったな。またぜひ開催してほしいな。いやいや待っているのではなく、アメリカまで行っちゃおう、と思ったりもしています。

ワークショップの動画発見! 英語の学びにも

そんなことを考えていたら、私の願いが通じたのか(東京で開催されたものではありませんが)、ワークショップの動画が見つかりました。

4分25秒で「それで、そもそも発酵とは何なの?」をわかりやすく説明してくれています。

日本語でも「発酵」という現象を相手にわかりやすく説明するのは、完ぺき文系の私にとってはなかなか難しいのですが、英語だとなおさら。なので、私にとっては英語で語れるようになるための良い教材でもあります。

そもそも発酵とは何なの?

「発酵」について、おそらくちゃんと定義しようとすると、いろいろ専門的な言葉を使って説明しなくてはならないのでしょうが、サンダー・キャッツさんは「ひらたく言うと、発酵とは微生物が(食べものなどを)変容させる働きのこと(transformative action of microorganisms)」と、発酵入門者にもわかりやすい言葉で話してくれます。

ちなみに、「日本大百科全書(ニッポニカ)」では「発酵」をこのように解説しています。

微生物の作用によって有機物が分解され、より単純な物質に変化する反応のうち、無酸素的に行われるものをさしたのが、発酵の最初の定義であった。しかし、最近では酸素の存在下で進行する反応も発酵とよばれることがある。この定義に当てはまる反応をすべて発酵とよぶわけではなく、有害な反応である腐敗は除外し、とくにその作用が人間にとって有用である場合を発酵とよんでいる。

動画では、この説明の箇所で「anaerobic process」という言葉が何回か出てきます。「anaerobic(無酸素の、嫌気的な)」は聞きなれない単語ですが、反対の意味の「aerobic(有酸素の、好気的)」という単語は「エアロビクス=有酸素運動」でよく使われていますよね。an-という接頭辞は「非-、無-」という意味を持ちますが、anaerobicは何だか発音しにくい!

発酵と腐敗

また、「発酵と腐敗は紙一重」ということを「微生物が働いてくれたからといってなんでも美味しいものに変わるわけじゃない。誰でも経験あると思うけど、冷蔵庫の掃除をしたときに、冷蔵庫の奥で見つけた腐りかけの食べもの。それだって微生物が働いてそうなったんだよ」と、イメージしやすい表現で説明しています。

最後は、「ある特定の微生物が育ち、ほかの微生物が育たないように環境の条件を整える、その方法が発酵なんだ」「『目に見えない生命の力(invisible life force)=微生物』が食べ物をより美味しくさせたり、保存性を高めたり、消化しやすくなるように働くんだ。発酵にはいつも、そんな何らかの実用的なメリットがあるんだよ」という言葉で締めくくられています。

要は、人間にとって「有益なもの」が発酵、「有害なもの」が腐敗なのですが、微生物の立場からしたら「どっちもおんなじさ」ということになるのでしょうね。

人間ってすごい、微生物ってすごい、サンダー・キャッツさん、やっぱり気になる

発酵という現象が科学的に解明されていなかった大昔から、人間は微生物を上手に使って暮らしていたんですよね。人間ってすごい。でも、微生物の力ってもっとすごい。そして、サンダー・キャッツさん、やっぱり気になるヒトです。





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