【沖縄県】総合診療医・本村和久先生が語る離島医療の今そして未来〜島医者は島が育てる〜◆Vol.3 #file3
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【沖縄県】総合診療医・本村和久先生が語る離島医療の今そして未来〜島医者は島が育てる〜◆Vol.2 #file3の続きとなります。ぜひVol.2をご覧になってからこちらの記事をお読みください。
Vol.2は下記のリンクからご覧になれます。
離島医療の活性化のために本村先生が取り組んでいる事とは
---島民の健康状態を向上させるための働きかけとして、具体的に実施していることはありますか?
「研修医の段階に応じて、離島医療に役立つスキルを身につける教育プログラムを組んでおり、現在は卒後5年目の医師が赴任しています。離島医療に興味がある若い医師を育てて配置することは医療の質が担保され、医師の数も供給出来るという点で一つの方法であると思っています。また、多様な人材が離島医療に関わる事も必要です。」
引用 沖縄県立中部病院 島医者プログラム
---普段の診療やそれ以外の学生教育、健康教室など何か取り組んでいることはありますか?
「学生の教育は見学を受け入れているので、そこで一緒に島に行って診療を少し手伝ってもらったりしています。最近は、ZOOMで離島医療に関する勉強会に誘って頂いたり、学生さん向けに沖縄県立中部病院の島医者養成プログラムや島の良さなどを伝えたりしています。
健康教育に関しても、保健師さんとお話して島の人にする事もあります。あとは、救急救命の講習会も行っています。」
人材確保のために様々な取り組みをされている本村先生。離島医療に従事する上では、人材確保が重大な課題の一つであるようです。
---離島医療に従事するにあたって負担感や困難感を強く感じることはありますか?
「最近は、津堅診療所で常勤医師を確保出来ていないという事ですかね。私自身が赴任してしまえば簡単だと思う事もあるのですが、それは困難で、色んな人を巻き込んでお願いして津堅診療所の体制を作るのは負担ではあります。ただ、離島診療に関わる医師が常に確保出来る訳ではなく、人口減少社会ですし、島の人口が300人を切ってくるとかなり確保は難しいという現状もあります。常勤医師が確保できないところは、様々な人が関わって負担して離島医療を支える様な部分も大事だと思っています。こういった形で外診を繋いでいくシステムを作っていく事は、やらなければならない仕事だと思っています。」
遠隔医療を利用して、資源が限られている島にも医療を届けたい。
---今後取り組んでいきたいことはありますか
「現在働いている離島診療所は医師が不足しているので、遠隔医療をお試しで行っています。診療所には看護師、本島には医師がいる状態で患者さんが来た時に電子ツールを使用し、診療を行っています。医師の立場としては、診療はかなり上手く実施しているつもりですが、利用者は減少傾向にあり、島の人からはあまり好まれていない印象です。
ですが、医師が確保出来ない状況も考慮するため、遠隔医療の満足度をあげる工夫をしていかなくてはと思っています。」
---取り組んでいきたい事を実現するにあたり、問題や障壁に感じている事はありますか
「遠隔医療が僻地医療の中で非常に重要になると思っています。しかし、実際に行ってみると自分が診療する事が一番楽であり、ここは非常にジレンマです。ですが、今後の離島医療を考えた際に、遠隔のスキルなど様々なノウハウの積み重ねは必要であると思っています。繰り返しですが、医師が常に確保出来るかは本当に難しい問題で、人口が減ってきた島で医師確保出来ない県立以外の離島は実際に存在するので、人口の少ない島でもきちんと医療が受けられるようなシステムは作らなければいけないと思っています。しかし、現実ではやはり対面が好まれるという所が悩ましい所ですね。」
---やはり対面が楽であると思うのはどのような点ですか
「患者さんが画面越しでどこまで自分の言いたいことが言えているのかなどが非常に心配ですし、ちょっとした歩き方や表情の細かな変化を画面越しではなく患者さんの姿を診て、色々判断したいというように思います。」
離島医療の経験が本村先生自身にもたらしたものとは
インタビューにて、離島医療の経験の良さを3つ挙げて下さいました。
1.色々な島で生じる医療問題に対して、幅広く対応出来るスキルが身に付く
2.多職種連携により、分からない問題を共に考えていく楽しさ
3.公衆衛生的な視点をもち、島の健康問題全体を考えていく事が出来る
本村先生の想像する未来の離島医療とは
---未来の離島医療はどのようになって欲しいですか?
「離島は住民としても医師としても、両方にとって非常に良い場所だと思っています。その魅力が伝えられるように色々な方が関わり、離島医療が”こんなに良いんだよ”という事が更に広がれば良いなと思っています。また、離島の住民の方にとって長く暮らしていきたいと思える場所、そして離島の住民以外の方からも移住しても良いかなと思える環境になって欲しいと思います。」
編集者よりコメント
今回は3回にわたり、本村先生の記事を書かせて頂きました。
本村先生の語る離島医療の今、そして未来の離島医療への思いは読者の皆様に伝わりましたでしょうか。
私は看護学生として、本村先生の”常に敬意を持ちつつ、何でも相談してもらえるように”という言葉が印象に残り、今後患者さんと接する際に胸に留めておきたいと思いました。
最後になりますが、本村先生の考える離島医療の魅力を読者の皆様にお伝え出来ている事を願っております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事を書いた人
高橋希和 聖路加国際大学看護学部看護学科3年
高校1年生次、フィリピンのマザーテレサ孤児院にて、貧困に苦しみながらも支援を受けて学業に励む子ども達と交流し、ボランティアとして里親支援に参加。大学では、聖路加国際病院小児病棟に入院している子ども達を支える"Night Friend"に携わる。
将来は発展途上国等で看護師として健康問題の改善に取り組みたい。また、同地域で医療者を目指す学生の支援にも関与したい。
私たちの活動について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
沖縄県立中部病院 島医者プログラム
https://www.facebook.com/shimaishaprogram/
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