あの日誓った友情は #2
相変わらずほとんど動きのないグループLINE。
それでも5人の友情は揺るぎないものだと信じて疑わなかった私は、時々4人それぞれにLINEを送る事を続けていた。
ひたすら、近況を聞くばかりの内容。
みんな、自分の事で精一杯なんだよね。
あの頃のように、みんなでバカ話したり愚痴を言い合ったり、そんな同じステージで話せるような感じではなくなってしまったと、私は内心寂しかった。
でも、それぞれお互いの事を気にかけているのは伝わってはきていた。
“みんなどうしてるかな?”
“またみんなで会いたいね”
誰とLINEしてもそんな言葉は必ず出てきたから。
ある日、サツキからLINEがきた。
“私、結婚する事になった”
故郷に返ったサツキは、程なくして地元の男性とお付き合いを始め、その報告はグループLINEで聞いていた。
なのに、結婚報告は何故私へのLINE?その疑問をサツキにぶつけると、彼女からこう返事がきた。
「前に私が彼氏ができたって報告した時、みんなの既読ついたのにアオイだけ何にも反応なかったからさ…何か…ね」
ああ、アオイか…。
アオイは早く結婚したい、彼氏が欲しいと常々言ってはいるけど、いわゆる【推し活】をしている彼女には、なかなかそちら方面の出会いがないようで。
以前LINEした時、
「カエデ結婚したし、キキョウも彼氏と同棲始めてさぁ…そしたら途端に付き合い悪くなっちゃってなんだかねーって感じじゃない?あーあ、てか何で私には彼氏できないんだろう!」
とぼやいていた。
「アオイにはあの俳優さんがいるからいいじゃん」と冗談交じりに言う私に「まぁね!私は推しを見ていられたらそれで幸せ!」と返したきたから深くは気にしていなかったけど、サツキの彼氏報告LINEの時、私は確信してしまった。
アオイ、嫉妬してる…?
「でもさ!やっぱりこんな嬉しい事、みんなで喜び分かち合いたいじゃん!報告しようよ!」
私の説得にサツキは応じ、グループLINEに書き込んだ。
まずは私が “おめでとう!約束通り結婚式には呼んでよね!” と返した。
次はキキョウ。
“わー!おめでとう!私の方が先に彼と付き合ってるのに先越されちゃったなw結婚式私も行きたーい!”
しばらく経ってカエデ。
“めでたーい!あ、この場に便乗させて私からも報告なんですが、年内には完全帰国する事になったよ!だから私も結婚式参加したい!呼んでね♡”
その後アオイからの反応はなかなかなかった。
“みんなありがとう。もちろん結婚式招待させて!カエデ帰国するんだね!みんなバラバラになっちゃったけど、国内なら集まろうと思えば計画立てやすいよね、とりあえずカエデが帰国したら一度集まりたいね”
サツキのそのトークを機に、私達4人はサツキの結婚と旦那様になる人の話、カエデの帰国とカエデの息子くんの話で盛り上がった。
そうそう、この感じ!嬉しいなぁ…とスマホを見ながら感慨深くなる私の目に、アオイのトークが飛び込んできた。
“おめでとう”
会話が一旦止まる。
次の瞬間、
カエデ “アオイだー!久しぶりだー!”
キキョウ “アオイ元気してた?”
サツキ “アオイもありがとう!結婚式来てね♪”
一斉にアオイに向けて言葉が投げかけられる。
でもアオイは反応する事無かった。
それでも久しぶりのみんなの会話は夜遅くまで続き、私は久しぶりに心が満たされた気分だった。