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読書・映画の感想文

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たれながすことばとこころ
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記事一覧

読書メモ45「問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ」

思ったより古い本なのね。 平成が最近かと思ってる古い人間ですこんにちは。 さすが人の心のモヤモヤを言語化して整理するプロ。 平易な言葉で説明というより「おはなし」してくれる感じ。 「この(ろくでもない)世界」という言葉に私は春日武彦の人間というものへの愛をしっとりと感じてしまう。 ろくでもない世界を作る人間への。 躁の世界の説明文を読んで唸ってしまった。 2025年現在、私の狭い窓から見える世界の印象がこんな感じ。 インターネット黎明期のテキストサイト、ブログサービス

映画メモ104「アヌジャ」

学校に通うチャンス。 かあ。 ほんの23分なんだけど、胸が痛む。 経済学を勉強してる人はたくさんいるけど 今も貧困を解決できていない。 学校に行けるはずの日本と。 学校に行けないインドの子ども達。 そもそもイジメもあったし登校拒否だった私なので 学校に絶対行けとも思わないんだけど それは教育とは別のところ。 教育を受ける機会という意味では 日本は恵まれている。 ただし、小中学校を習熟ゼロでも進級・卒業させるのは ちょっとどうかなとは思っている。 デパート?の警備のお

読書メモ44「ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ」

「チ。-地球の運動について-」を読んでいたので (アニメは一気見したいので保留) 作者つながりで彼氏が買ったので遊びに行って読んだ。 うわー、こういう人たち知ってるー! ってならない? 「いたよ、こういう人」の。 いや、「いるいる」かな。 私はまともに学校に通ってないから クラスにどれくらい、とかは分からない。 でも、うっすらした記憶にも数人いた気がする。 さてお話はデフォルメもなんもしてないんじゃ?と思うような 直球ストレート。 しかし、職業柄?病の匂いを嗅いでしまう

読書メモ43「カーテンコール!」

北海道土産。 1万円選書の本を北海道の友達にいただいたので ホンモノだ。 理事長がやっぱり良いのだ。 トットちゃんのトモエ学園みたいな創立の努力のとこは すごく胸を打つ。 戦後何十年経っても、女性に学問は必要ないとか まだ言う人が生きてる21世紀を私たちは生きているしね。 そっち界隈の医療に片足というか爪先を突っ込んだり なにかってーとすぐご飯食べられなくなる摂食障害系であり 自傷癖もあったりするし、ひどくはないが睡眠障害も時にはあり 親はやべーし 息子もいろいろあったし

映画メモ103「世界一キライなあなたに」

原題が Me Before You。 それだけでも泣いてしまいそうだ。 幽霊になった恋人は、ウィルと同じで中途障害者。 「情けないけど受容できてないんだ」 と彼が言ったのを覚えている。 その時に私は 「でも、『生き延びるために生きてるんじゃない、幸せになるために生きてるんだ』って言えるなんて、受容した上で闘おうとしてるんじゃないのかな?」 と言った。 彼は静かに泣いた。 私といるときの彼のいい顔は、 亡くなったお知らせにご家族が使ってくださるほどだった。 Him bef

映画メモ102「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」

beginningだわ。 息子に「今行こう」くらいに推されたので観に行った。 息子がいなくなった途端、こういうの疎くなっちゃうことが分かった。 前はほっといても「やるんだって」と聞こえてきたというのに。 気を付けないと見逃しがちになるね。 私はリアルタイムでなく、劇場版が出る前の、夕方一挙放送のあたりでガンダムにはまり、それ以降、基本的にはファースト3部作をメインにガンダムが好き。 そのせいで息子らも好きだけど、下の子の方がガンダムが好き。 バンダイチャンネル入ってるくらい

読書メモ42「非色」

数十年ぶりの有吉佐和子。 迸る熱、というのが特徴だと思う。 昔、「恍惚の人」を読んでその記憶があったけど、 今回の「非色」の火力も強い。 このパワフルなとこを、昔のおっさんらは ヒスとか言いそうだなあと時代背景を勝手に想像してしまう。 私は笑子だ。 反骨心の塊、というか天邪鬼かもしれない。 反対されればされるほど、「上等だ!」と そっちにエンジン全開で突進する。 ヤンキーマインドに似ているが 群れるほど弱くもない。 小さい頃に、差別というものを知った時に、 なぜ差別するん

映画メモ101「Back in Action」

キャメロン・ディアス、かわいい。 それを言うためだけの映画と言っても過言ではない。 思春期の娘に傷つく姿もかわいい。 アクションもかわいい。 夫婦がスパイでなどは、あるあるだし もうその辺りのはいいの。 ジェイミー・フォックスもいい。 Annieでも共演してたのか、そういえば。 あと、グレン・クローズ。 パッと思いつくのは101のクルエラ。 いろいろ出てるベテランだなあ。 個人的にはヘレン・ミレンでホントのイギリス人やって欲しかったけどね。 「良い母親ではなかった」と言

映画メモ100「26世紀青年」

久しぶりに会った友達に勧められたものの配信もなく メルカリで何とかDVDを探し出して購入。 「その映画の通りになってるんだよ~」 と、彼女が言っていたので、どれくらいバカなのかと見たくなった。 うおおおおお! バカだ・・・ 幼稚園~小学校低学年男子しかいないといえば お分かりになるだろうか。 当時は「うっわ、馬鹿だー!」「んなわけねー!」と笑っていたのかもしれないが、2025年現在、そのまんまこの世界じゃねーか。 人文知を否定してみたり、 三角関数いらないじゃん?の先

映画メモ99「どうすればよかったか?」

精神科医療と私 精神科医療にほんの少しだけ関わった。 病気や障害を隠す家族は少なくない。 いわゆる高学歴の、しかも医師でももちろん同じということも知ってる。 高齢であればあるほど偏見が強いことも。 頭で分かってるというより、実際に目の当たりにしている。 親は娘を隠した、というのも 「ああ、うん、だろうよ」 と思ってしまうので、あんまり見る気はなかったけど 先日の「エンディングノート」を見てからふと、 家族って距離とか難しいよなあと思って見に行ってみた。 私宅監置の実態と

映画メモ98「ライド・オン」

ジャッキーである。 ジャッキーのためのジャッキーファンによるジャッキーの映画、みたいな。 スタントマンに捧げる映画だそうだけど スタントマンがジャッキーに憧れてその業界に入ったと言っても疑わないよね。 いい感じにコメディ入って いい感じに親子愛あって 師弟愛に動物愛に家族愛。 盛りだくさんだけど、ここまで盛り込まれると 逆にもう許せる。 ちょいちょい出てくるジャッキーの過去作品トリビュートや そのまんま映像も、鬼のように出てくる。 というか中国映画界?の 「ジャッキー愛」

映画メモ97「エンディングノート」

またも同僚おすすめ映画。 別の同僚を私とその同僚は一緒に見送っている。 (その後の会社の酷さも) どんどん痩せていって、でも仕事に来てて、 最後の最後は本当に痩せ細ってしまって 話す元気もないようだった。 そんな姿を見てきた。 映画の率直な感想は 「準備できるというのはこういうものか」 である。 突然死の准遺族としては。 あと、孫すげえ! 私は果たして孫にあんなに思いをかけられるだろうか。 おじいちゃんは自分の子育てはそんなに関わらなかったから、そういうのもあってかわい

映画メモ96「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」

豪華キャストが一堂に! ってやつだな・・・。 夫婦って、難しいよね。 長くやったことないけど。 浮気とか、どんなにしたところで 「配偶者の代わり」であって 本当は配偶者のことだけを求めてるって場合も あるだろうなあと思ったりはする。 私は医療界隈にいたこともあるせいか 「戸籍上で関係なきゃ他人」 「そういう人の希望は無効」 という考えがあるのと 年齢的にいろいろ終わりかけで病気しがち年齢なので いざが見える(ララァ風)! ゆえに付き合うなら結婚したいなと考える。 「籍

読書メモ41「アーモンド」

恋人(故人)が脳炎で偏桃体や海馬のあたりをやられたので 情動や、記憶があまりよく働かなかった。 「人を好きだとか、よく分からない」 と最初の頃は言っていた。 「だけど、今、りんちゃんに会いたいなと思う気持ちを好きと定義する」 そう宣言してくれて、私たちは一緒にいた。 そんなこともあって私にとって、偏桃体 amygdala はとても近しい。 彼のMRI画像を大事に眺めるほどに(もらった)。 彼の記憶とともに。 ということがあったので、知ってはいたけれど 彼のことを思い