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父の手
数日前の夜11時くらいのこと。
外を歩いていたら、年配の男性二人が交差点で信号を待っていた。
その男性二人はよく見ると
一人は白髪まじりの60代くらいの男性、もう一人は80歳はゆうに超えているであろう腰の曲がった男性。二人は親子なのだろうとすぐ分かった。
60代くらいに見える男性は息子なのだろうか。
背後からみると、寄り添うように80代の男性の脇に立ち、手を繋いでいた。80代の男性はきっと足が悪く、支えが必要なのだろう。
それを見たとき、なぜだか胸が熱くなった。僕もいずれかは自分の父にも同じようにしてあげたいと強く感じた。いや、必ずするんだと決めた。
そして、しばらくこの二人をボーッと眺めてしまった。
ーーーー
数年前のこと。
ぼくがまだウツだった頃。
父は60歳を迎えて定年退職するかと思えば、再雇用として会社に留まることにした。
定年前は父は、「定年になったらあちこち旅行にいって、趣味の山登りをして..」なんて言っていた。
それが、老後の備えをしないとと言って再雇用をした。
ーー
ウツが治り、後々になって母より聞いた話。
お前のウツは、もしかしたら治らないかもしれないと当時は思ったんだよ。
だから、なるべく二人で長生きして面倒を見ないといけないかもしれないと思ってーー。
だからお父さんは再雇用できる65歳まで働いていたんだよーー。
なるほど。
父は口数が少ないから、言葉にはしなかったけれど。
そんな父親を、粗末に扱うわけにはいかないよな。
「今に見ていろ!」
そんな感情が、ウツを克服するのに一番役立った。前にも何回か書いたけど、ウツになって周りにお世話になりっぱなしの自分に、心底、嫌気がさしたのだ。
ウツになった人が陥りやすい罠に「自分はなんてかわいそうな人なんだ、、」という感情がある。じつはこの感情はウツを長引かせる。
フォーカスを他人ではなく、自分に向けてしかも自分を悲観視するからだ。そう思うとどんどん力が出なくなる。
ウツの人でも、「それでも自分は誰かに何かできるだろうか?!」
そんな感情がチカラをみなぎらせてくれる。誰かの役に立ちたい、貢献したい、与えたい。
そんな思いが自然と回復へ向かわせる。
これは単なる感情論ではなく、Well-Beingやハピネスの研究の成果として出ているのだ。
そんな感情を、再び大切にしたいなと思った経験だった。