本と梨沙
「本を読むことは、そこで描かれている人の人生を生きてみること。」
私にとっての読書です。
中学に入ってから本を読むペースが一気に落ち、最近ようやく復活。
小説以外はラリルレ論しか読破したことがない私ですが、本の影響を大きく受けてきた人の1人です。
久しぶりに実家で長い時間を過ごし、なんとなく当時読んでいた本をずらっと羅列したくなりました。
私にとっての読書を、発信してみたくなりました。
そんな普段より自己満足マシマシのnoteです。
書くこと目的のnoteなので、1か2のどちらかだけ読んでもらうのがおすすめ。2の方がおすすめ。
1. 梨沙と読書の間にあったもの
両親ともに本好き、母は絵本の読み聞かせをする人、叔母は司書、サンタさんからは毎年本のプレゼント、両親が図書館に連れて行ってくれる。
そんな環境で育ったので、本は昔から自然と近くにありました。
絵本を読んでもらう延長で本を読んでいて、いつだったか「本をたくさん読むってすごいことなんだ」ってことに気付きました。「梨沙ちゃん本たくさん読むのえらいねぇ〜」って感じです。だから、本をたくさん読むことは当時の私の自慢でした。
児童向けの本って、対象年齢が書いてあるんですよ。面白そうな本を手にとって読んでみて、わざわざ裏表紙を開いては対象年齢が私よりも少し上だったことを確認し、毎度誇らしい気持ちになったことを覚えています。笑
そうして色んな本を読んで、おかげで中学受験の国語は楽ちんで、でもたった一度、その読書量を後悔したことがありました。
小学5年生くらいだったと思います。
「こんなに本を読まなければよかった」と思いました。
理由は、周りの人の気持ちを予測しすぎて生きにくいことでした。
今振り返ると、完全に思い上がり。当時の私について覚えていることは、人のことをよく傷つけていたということです。
それでも、人の気持ちを予測して、動けなくなって、窮屈な気がして苦しんでいた、その当時の私なりに必死だった思いも、よく覚えています。
ここが、一番初めに書いた「人の人生を生きてみること」という言葉と関わってきます。
小説といっても、その書き方には色々なタイプがありますが、私の印象に強く残っているパターンがあります。
小説の中の時間が、主人公の視点で進みます。主人公の視野で、1人の人間が得られる情報量で、色んなことは進んでいきます。彼ら、彼女らは、自分の知っている範囲の情報量で感情が動き、行動します。
最後に、答え合わせがあります。嫌いだった誰かにも苦しみや、愛情や、葛藤があったことを知ります。主人公は、それを知らずにとっていた自分の行動を後悔したり、謝ったりします。
そこで、主人公の人生は一旦終わります。
そんな主人公の話を何人分も読みました。没頭して、シーンを具体的に想像して、本当に彼ら、彼女らになってその人生を生きているようでした。
そうすると、何かにイライラした時や傷ついた時、相手にも苦しみがあるのかな、なんて想像できるようになってきます。私は私の人生の主人公として、小説と同じように時間が進みます。答え合わせを想像して、今を生きるようになります。
相手の苦しみを想像したら、自分の苦しみの吐き場がなくなった。
それが苦しかった。
いや大袈裟だな、とか思います。書いてて恥ずかしくなってくる。笑
20年生きてきて、身に染みて思うことは、私って優しい人間ではないこと。自己中で、わがままで、結構人として最低なこと。
今になってようやく、きっかけと言う名のやらかしを経て、たくさんの人を傷つけた代償と引き換えに、そしてそれでも愛してくれた人たちのおかげで、そんな自分を自覚することができて、いい人として生きようとする努力ができて、ある程度様になって来たかな、って感じです。「僕は人間じゃないんです、本当にごめんなさい」(棒人間 - RADWIMPS)本当にそんな感じです。
そんな私にとって、人の苦しみを想像できることは、生きにくいことだったのです。小学生梨沙の感情の受け皿的にはキャパオーバー。
いつの間にそんな悩みが消えたんだろう。そういう流れの本を読まなくなったからなのかな。
自己満足と初めに言ったように、やっぱり今回は、本と私の歴史を言葉にしたかっただけのようです。
強いて言うなら、いつかあなたに子供ができて、その子が私と違ってすごく優しい子だったなら、こんな苦しみが本物になってしまうと思うので、気をつけてみてねって感じです。本を読んで相手の感情を想像できるようになるのはいいけど、手に負えないほど想像したって苦しいだけだったよ。
でも、今はそれくらい人の気持ちを想像できる過去の自分が羨ましいです。相手の行動の「なんで?」を自然と考えて、自分の感情や行動をコントロールできる人ってすごいって思っていたけれど、思い返すと自分もそうだったんだ。いつの間にか自分の人生だけを生きることに必死になっていたんだなあ。
2. 私の好きな本
ここから先は、私の好きな本の紹介です。認知度が低そうなもの中心です。あとはこんなに読んでたんだよーっていう自慢です。大人になってから読んでも素敵な小説ってたくさんあるので、気になったのがあったらぜひ手にとってみてください。
でも、主人公が同年代の時にその本を読むって、それだけで特別なことな気がします。
▶︎私のおすすめBest3!
主人公のダーリンはジンバブエで生まれて、途中でアメリカに移住します。完全にダーリンの視点のみで進み、彼女のあっけからんとした言葉で、「衝撃的」なシーンが描写されていきます。
作者自身、ジンバブエで生まれてアメリカに移住していて、本の内容は作者自身と10年くらいずれた時代の話。単行本の解説によると、ダーリンは私と同い年で、1999年くらいに生まれて、同じ時代を違う場所で生きてきた人。
ダーリンの言葉で描かれる本の中で、少しだけダーリンじゃない人が書いている章が3つあります。移住する前の人、移住を試みる人、移住した人を、冷静な記者の様な言葉で書いていて、読んでいて胸がギュッとなります。
日本での認知度の低さも手伝って、私がすごくすごくおすすめする本です。読み切るのには体力を使うけれど、ぜひ読んで欲しい本です。
②魔女の宅急便 - 角野栄子 作
実はこれ6巻まであるんですよ。
主人公のキキが、13歳で独り立ちしてから少しずつ成長していくお話です。誰かと比べて自信をなくしたり、恋をして焦ったり、大事な相棒ジジと喧嘩をしたり。思春期真っ只中の少女キキの、細かい感情の変化や成長が、宅急便をしながら出会う色んなエピソードと一緒に描かれています。
キキは、魔法使いで主人公だけど、魔法使いじゃなくても、主人公じゃなくても、多くの人が経験する、小さな心の機微を、ちゃんと認めて小説にしてくれている。そんなお話です。私はこれを何度も何度も読みながら成長しました。
③ゼツメツ少年 - 重松清 作
生きていたってゼツメツする。
中学2年生のタケシ、小学5年生のリュウとジュンは、学校や家庭で居場所が、生きる場所がありません。少し不思議でややこしい世界の中で話は進み、1人1人の人生が語られていきます。
自分の弱さが、誰かを「ゼツメツ」させること。
人間って思ったより強いけど、思ったより弱いこと。
小さくて、それでも懸命に生きる彼らに、恥じない大人でありたいと、そんなことを思います。
▶︎家族の話。
家族について悩むことの多かった私は、母と娘の話、家族の話をたくさん読みました。親になる時に、また読み返したいと思います。
①ハーブガーデン - 草野たき 作
「子供なんて仕事の邪魔で仕方ない」
主人公のゆみは、お母さんが電話口で友達にそう言うのを聞いてしまいます。
我慢して、我慢できなくなって逃げて、捕まえてもらって、やっと向き合える。子供の世界はとても狭いです。親の一言で、世界は真っ暗になる。
小さな一言で大きく絶望する子供にとっての世界を、大人になっても忘れたくないから、母親になる時はまた読み返します。
②夏のとびら - 泉啓子 作
主人公のまやは小学5年生です。お兄ちゃんが警察に捕まったことをきっかけに、まやの家族はどんどん変わっていきます。
頭が固いお父さん、弱々しいけど見栄っ張りなお母さん、反抗期に入って怖くなったお兄ちゃん、突然変わっていく家族の形に必死にしがみつく末っ子のまや。
子供の世界は狭いけど、家族からは見えないその子だけの世界が、人生がある。家族の一人一人が、それを持っています。家族であることについて考える話です
星に帰った少女、西の魔女が死んだ、とかもおすすめです。
家族についての悩みは、本当に千差万別だと思います。私は、この4冊あたりを支えにしていました。
▶︎大人におすすめの本
大人には大人にしかわからない感情がたくさんあるなあと、最近大人になり始めて思います。
①四月になれば彼女は - 川村元気 作
今の彼女と、結婚まであと1年。そんな時に、ウユニ塩湖から手紙が届く。差出人は、大学生の時に付き合っていた彼女。
過去と今と、想像と現実を行き来しながら、色んな形の愛が語られます。
途中、逃げたくなります。
愛について、もしくは人について、冷淡に描かれていて、読んでいて目を背けたくなります。
それでも最後は、不器用で微かな希望が救ってくれました。
②家族の言い訳 - 森浩美
中学受験のために通っていた塾で先生が勧めてくれて読みました。なぜ小学生に、と今になっては思います。笑
今度は大人と家族の話。短編集です。
蒸発、不倫、突然死、色んな変化を迎えて気づく家族のこと、自分のこと。後悔しても遅いけど、私の人生は続くから、きっとまだなんとかなる。
大人になってから定期的に読もう、と思います。大学生になってから学びの大きかった文章を載せておきます。
人生なんて結局、51勝49敗程度でいいの。
本当に賢い女は負けてあげられる余裕を持ってるの。それはね、小さくても幸せにつながる急所の掴み方を心得てるってことなのよ。
他にもなんか色々読みました。
赤毛のアンシリーズ、あしながおじさん、トム・ソーヤの冒険あたりは母の勧めで。赤毛のアンシリーズは途中から半分意地だったように思います。笑
小学校高学年では東野圭吾、山田悠介、湊かなえにはまりました。あとは若女将は小学生、黒魔女さんが通るも読んでたなあ。私たち世代のはず。笑
恋空とかのケータイ小説もめちゃめちゃ読みました。兄の影響でラノベも少し。
一瞬の風になれ、図書館戦争、ハリーポッターあたりは何十回と読みました。
西の魔女が死んだ、夏の庭は小3小6で曽祖母と祖母を亡くした時に自分の心を整理するのを助けてくれました。
レ・ミゼラブルは初めの30ページずっと司祭の話なのに耐えられず断念、村上春樹が苦手で1Q84も断念。
百田尚樹さんは、モンスターとカエルの楽園の2冊を読んでお腹いっぱいって感じになりました。
探偵より怪盗派なのでホームズは2冊くらい、ルパンをたくさん。シドニー・シェルダンは父の勧めで。
魔法の世界が大好きなので、霧の向こうの不思議なまち(千と千尋の神隠しの元ネタになったお話)、ナルニア国物語シリーズ、シェーラ姫の冒険とかもめっちゃ読みました。シェーラ姫の冒険は、小学校低学年向けくらいなんだけどもお気に入りすぎて、社会人になったら大人買いするって決めております。
大学生になってからは、ずっと本の読み方を忘れていて、四月になれば彼女はでようやく思い出したました。
コロナ自粛を利用して、このまま色々読みたいなあ思います。
3. 最後に
本を読める人ってすごいし、
本を読むと学びがあるかもしれないけれど、
小さい頃の私にとっては、本はただ時間を使う選択肢の一つでした。
漫画は買ってもらえず、お小遣いはなく、ゲームは下手、ケータイはなし。
そしてなんと9時消灯。
でも、両親は図書館には連れて行ってくれる。
枕元の小さな灯で、眠りに落ちるまでの時間を過ごす。
その手段が、本でした。
「学んだ!!」って気がする本もあるし、ただ楽しんだだけの本もたくさんある。
最近は、読書の形に囚われすぎていたなあと思うし、魔法の世界のようにワクワクする本も減ったなあと思いました。
もっと自由に、別に現実に還元されなくてもいいし、誰かにすごいと思われる必要もない。楽しい時間を過ごす選択肢として、本を選ぶような気軽さを持てたらいいなあと思いました。
とりあえず、今日からしばらくは魔女の宅急便を読みます。
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