【イタリア発!母ちゃんに日記】アート&歴史探検in Mantovaマントヴァ
2023年7月8日、クレモナから電車に揺られること50分、本日の目的地はマントヴァです。
目的は「湖畔のサイクリングロードを自転車で走る!」。
自転車を持って電車に乗り込むのは、イタリアに23年住んでいて実は初めての体験。自転車オッケーの車両がどの電車にもたいていあって、見慣れた光景ではあるのですが。
5月から息子(13歳)と2人でアート&歴史探検にハマっています!
2週間前の6月25日に2人で訪れたマントヴァには湖があって。「またすぐ来よう、今度は湖畔散策をメインに」と約束していました。
今回は次女(16歳)も一緒の3人旅です。これもまた賑やかで楽しい。家族の中では空が大好きで有名な3人組です。
本日の持ち物は、サンドイッチ、おやつ、スポーツドリンクと水、レジャーシート。
「行き先は決めなくていいよね、ただ湖畔を走ろう。疲れたら木陰で休めばいいんだしー」
3人で自転車を連ねて走ります。
あ、こういうお出かけは久しぶりだなー。子供達が小さい頃は近所でよくサイクリングに出かけました。
マウンテンバイクで先頭を走るのは息子、めっちゃ速いな。次女が懸命にペダルを漕いで後を追います。そんな2人の背中を見ながら少しだけ遅れをとって走るママを時折気にして2人が振り返り、先に行き過ぎると待っていてくれる。
やさしいなー。
「お腹すいたー。えっ?まだ11時半?いいじゃん、もうランチにしよう!」
木陰にレジャーシートを広げ、シートの角にそれぞれのリュックを置きました。1回目の休憩時間の始まりです。
これほどまでに白鳥を間近で、しかも長時間観察したことはありませんでした。白鳥の家族が現れ、くちばしで丹念に毛づくろいを始めたんです。
サンドイッチを食べながら、気づけば約1時間半もこの家族を眺めていたという。
「首が長い!しかも自由自在に動くんだね」
「へー、片足で立つんだ!」
「羽を広げるとデカッ!」
「あっ、子ども達もマネしてる」
「子どもの羽、すっごい短いねー」
時間がいつもよりゆったりと流れています。いいな、こういう時間の使い方。わりとママっ子の息子、お年頃で全く話してくれなくなる時期がいつかは訪れるかもなー。
と、なんとなく心の準備はしていますが、今のところその兆しは全くないみたい、ずっと話しています、笑。
その息子のリクエストにより、今回は湖畔散策がメインなのでアート&歴史探検は後ほど行くかもしれないし、行かないかもしれないし。
旅はザックリな予定で偶発的な発見や出会いに身を任せるのが好きなんですよね。
さてと、そろそろ出発しましょうか。
「Castello di San Giorgio サンジョルジョ城の方に向かって湖畔を走ろう。疲れたらまた木陰で休みながら進もう!」
湖畔沿いに長く伸びるサイクリングロードをひたすらペダルを漕いで走ります。爽快だな。眩しいくらいに照らす太陽の下、風を感じ、木々の声を聞く。
気温はどんどん上昇するけれど、低い湿度のおかげで木陰の道に入った途端ひんやりとした空気が体全体を包んでくれます。快適。
蓮の花の群れが現れました。幻想的、でもどこか懐かしさがある景色に思わず3人揃って歓喜の声をあげてしまいました。花も葉っぱも想像をはるかに超える大きさだったから。空に向かって1メートル以上あろうかという茎が力強く大輪の蓮の花を支えています。
蓮の花の群れを通り過ぎ、さらに先へとサイクリングロードを走ります。競争なんかしていたら気づくと湖から離れて住宅地を走っていて。あれっ?
「ママ、なんか変。Googleマップを見た方がいいよ。」って息子に言われてスマホを取り出します。
あーーーー、やっちゃった。スタート地点からずっと逆の方向に走っていて、湖畔のサイクリングロードからどんどん離れた方に向かっているではないですか!
「ごめん!ママが道をまちがえちゃった。戻ろう。」
来た道をまた戻ることになったのだから、当然また蓮の花の群れを通り過ぎることになりました。
「道をまちがえたから、出会った景色があったね。」って子どもたちに言ってみました。だって、本当にそう思ったから。
「うん!蓮の花がこんなに大きいって知らなかったから見れてよかったよ」と息子。その隣で自転車を漕ぎながら次女も微笑んでいるます。
道をまちがえたし、その分疲れちゃったし、時間も費やしました。でも誰も怒ってはいません。むしろ、「まちがってよかったじゃん、いいことあったし。」という空気感が、この3人組の特徴だったりします。
正しい道(向かおうと思っていた道)をしばらく走ります、もちろんずっと湖畔沿い、笑。
「あっ!あれ、やろー」
自転車を止めて2人が遊び始めたのはシーソー。
まさかね、2人がキャッキャ言いながらシーソーで遊ぶ姿が見れるとはね。背格好はもうとっくにママを追い越しているけれど、シーソーで遊ぶかつての幼い2人の姿が一瞬重なって見えました。
湖畔で、出会った景色の中でまちがいなく最高のシーンだよ。
ありがとう。
帰りの電車までまだ少し時間がありました。
次女が行ってみたいとリクエストした劇場、「Teatro Scentifico Bibiena」の見学に向かいます。
湖畔沿いの道から離れ、町の中へと入っていきます。知らない町を自転車で走ったのは初めてで。
なに?!このめちゃくちゃ新鮮な気持ちは!
初めての体験ばかりの1日の最後がこちら。
劇場のステージに立つ!という体験。
俳優さんたちから観客席ってこんな風に見えているんですね。
一度目を閉じてイメージするのはオペラ歌手、まるで自分がオペラ歌手になったような気持ちで劇場全体を見渡してみました。
満員の客席、観客の拍手や声援を思いっきり妄想。
ステージに立ち、何かを表現するってゾクゾクして、高揚感が半端ないなって、一瞬酔いしれました。
「ママー、そろそろ、行かない?」
次女が笑顔で言いました。現実に引き戻してくれて、ありがとう、笑。
(つづく)