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幸せに、って?③

彼の幸せを壊してはならない。

彼がこれまで、血の滲むような思いをして築き上げてきた立場や信用や、今のステータスを、私と出会ったことで、台無しにさせては決してならないのだと。

奥さんと子供と、そりゃあケンカもしたり、めちゃくちゃ心通う相手では仮になかったとしても、それでも長く連れ添ってればそれなりに分かり合えたりもするはずで、そんな家族とこれからつくりあげる時間を、私と出会ったことで、彼から奪ってはならないのだと。


でも、夢の中で、彼は言う。

妻と子供といることを、どうして幸せって決めつけるの?

君を愛することを許してもらえるのであれば、僕は何を失ったって構わない。


夢の中でそう言われて、ああ、口には決して出せなくても、彼は心の奥底ではそう思ってくれてる、誰よりも私を求めてくれてる、ってそう思うだけで、私は満たされて、いた。

満たされていた、つもりになっていた、だけだったのかもしれない。


本心では彼にそう思われていること、それだけで嬉しい、と喜べる日もあれば、だったらもっと一緒にいたい、ただ近くにいたい、って欲が出る日も当然あった。

それでも、年上であること、を大きな理由にして、私は自分自身をセーブしてきた。

彼の仕事に迷惑をかけてはならない、彼の立場と仕事を守ること、それはつまり彼の家族をも守ることでもあって、そこだけは私の死守しなければならないことだと思ってきた。

そして、私は、彼の家族にまで愛を注げる人間なのだ、と思ってきた。


でも、今、私たちはお互いに、心の奥底からお互いを求め合って、いる。

本当の自分に戻りたい、私は私として生きたい、そんな心の奥底からの感情の発露として、お互いを求め合っている。

もし、私たちが求め合って、愛し合うことで、お互いの家族なり立場なりが壊れたら、それは、とても分かりやすく、私たちは周りから、世間から責められるだろう。

お前たちのせいだ、って。

年甲斐もなく、色恋に狂って、人生棒に振った、バカ、って。




でも、そうやって壊れたものは、本当に壊してはいけないものであったのか。


壊してはいけない、と今思い込んでいるもの、大事に守るべきもの、と考えているものは、本当に、そうなのか。


本当の自分自身に還ろうとする中で、結果的に壊れてゆくものは、それは、本当の自分自身には必要のないものではなかったのか、本当に必要なものであれば、何があったって残るのではないのか、あるいは壊れたように見えたとしても、新しい価値や形状となって生まれ変わったりもするのかもしれない。



そうであれば、今私が、壊してはいけない、奪ってはいけない、彼に迷惑をかけてはいけない、と汲々として考えていることの数々は、もはや、私の心がつくりあげただけの幻想なのかもしれなかった。


世間体や常識や、周りから責められたくない、っていうそんな手垢にまみれた俗的な感情から生まれた。

そういうものに、本来の自分自身がこれっぽっちも望んでいないような感情に縛られて、その幻影に、怯えている。

むしろそちらのほうが愚かなのではないか。



ねえ、あなたは、あなたの人生をどんなふうに生きたいの?


もう、残された時間ってそう多くはない、とっくに人生折り返してる自分自身に、聞いてみる。

本当は、どうしたいの?


それが、やっぱり彼と一緒にいたい、であれば、私は、今、動かなければならない時期だ。


『ただの色恋とは違うものだから』

宇宙から何度もそう言われているこの愛に、ガチで向き合って、人生を動かしてゆく時期に、今きているのだ。







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