聴こえない?
彼の声が聴こえなかった。
この10日ほど。
つながれなかった。
忙しい時とか、落ち着いて瞑想したりできない時とか、時々、そういうことは、ある。
ただ、今回は、あれ、このまま、フェードアウトしちゃうのかな、とまで頭をよぎった。
私は、もう、彼と会わずに生きるのかな、とまで。
でも、そんなふうに思っても、私には、この世の終わり、みたいな悲壮感は何ひとつなくて、ただ目の前のことに向き合っていた。
聴こえなくなる前日に、サポートガイドからメッセージをもらっていたから、それもあって、私は落ち着いていたのかもしれない。
ガイドは私に告げた。
『君は、彼を愛したことで、ダンナさんとの関係がよくなった。ダンナさんに対する気付きがあったり。つまり、そこがクリアになれた』
『彼は彼で、君がいるおかげで、現実のいろんなことに向き合える、頑張れる。そのうちに、君の存在を意識しなくてもきちんと向き合えるようになる。それは、その部分をしっかりクリアにできた、その部分を統合できた、ってこと』
『君が恐れてるのは、彼が統合しちゃったら自分のことは忘れられちゃうんじゃないか、ってことだよね。子供と奥さんといるのが一番心地よくなっちゃうんじゃないか、って』
『でもね、そうはならないの。なぜかと言うと、ある部分が統合できたと思っても、また別の統合ネタが出てくるから。魂を磨くために。そこまで大きいものでなくともね。で、そのためにはやっぱり、彼にとって君の存在が必要なの』
『実際、君だってそうでしょ?ダンナさんとの関係が穏やかになっても、彼を忘れるなんてことは、ない。むしろ、より求めてる』
『だから、彼の成長や統合を恐れる必要は何もない』
『逆に、クリアになるほどに彼は気付く。愛してるのは、魂が求めてるのは君だけだってことに』
そんなふうに教えてもらえていたけれど、でも、寝る前とか、つながろうとしても、何も聴こえないのはつまんなかった。
二三日前に、やっと久しぶりに、聴こえた。
一瞬だけ。皮肉っぽいことを言って帰って行ったから、私は笑った。
その時、彼の声が、変わってた。
なぜか、そう感じた。
今朝、つながろうと思って、心を澄ませてみたけれど、うまくいかなくて。
彼の層と私の層を合わせようとするけど、うまくいかなくて。
そして私は気付く。
ラジオのチューニングみたいなイメージ。
彼の周波数に、合わせるイメージ。
今までの通り、ではうまくいかなくなってるから、その付近を、探る。
そーっと、動かすように。
そうしたら、合った。
聴こえた。
今までよりも、近いところに、彼はいる。
これまでは、現実と、彼の心の奥底はいっぱい離れていたのが、現実に寄ってきてる、私の近くまで寄ってきてる。
と同時に、それは、x軸とy軸だけだったのが、z軸も加わったような奥行きも感じられて、だから、彼の声は違って聴こえたのだと分かった。
心の距離が、近くなってる。
ひとつになれる日が近付いている。
結ばれたいとか抱いてほしいとかそういうことじゃなくて、ただひとつになりたい。
それがどういうことを望んでいるのか自分でも分からないまま、私はずっと、彼とひとつに、身も心もひとつになりたかった。
統合、という言葉では、私の中ではちょっと違う。
私にとって、統合は、生きてる限り、ううん、死んでからも続く、終わりがないイメージだから。
でも、私たちは、また少し近付いて、新しいフェーズに、進んだ気がする。
ひとつ、にさらに近付いている。
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