自選十句

金木犀父の句集に恋の文字

着ぶくれて街の景色となる気楽

缶ふたつ抱いて心療内科前

泡消える程の沈黙ラテふたつ

浅蜊開き悪口小さくひとりごつ

煙茸不満は小出しにするが良し

初雪のことなど老父との電話

今起きたやうな返信蜥蜴出づ

便箋の母の字細し吾亦紅

空蝉や焼き付けられし無言の生


(2019~2020)

父の句集を編集したことがきっかけとなり、見様見真似で俳句をはじめ、

「海原ひろしま」の句会に誘っていただき、1年間学ばせていただいた。

句会の面白さ、自分の不甲斐なさ、の両方を感じつつ、途中から別の事情もあり継続することが苦しくなってしまい、会をお休みさせていただいている。

こうして句を振り返ってみると、私は自然ではなく人間を見てばかりいる、と気づかされた。そのあたりにも、苦しくなった理由があるように思う。

…また、いちから学びなおそうかな。






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