精神限界シェフの極限レストランへようこそ「ザ・メニュー」

あらすじ

有名シェフのジュリアン・スローヴィク（レイフ・ファインズ）が極上の料理をふるまい、なかなか予約が取れないことで知られる孤島のレストランにやってきたカップルのマーゴ（アニャ・テイラー＝ジョイ）とタイラー（ニコラス・ホルト）。目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーは感動しきりだったが、マーゴはふとしたことから違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく。レストランのメニューのひとつひとつには想定外のサプライズが添えられていたが、その裏に隠された秘密や、ミステリアスなスローヴィクの正体が徐々に明らかになっていく。

ネタバレなし感想

脱出不可能な『孤島』＋『不穏なレストラン』で薄々感じていた予感はしかしこれはサイコスリラーというより、かなり皮肉が効いたブラックコメディのよう。（ちなみに筆者はミッドサマーもその路線でとらえています笑）

超高級レストランらしく集まったメンツはセレブばかりだけど、かなりの俗物っぷりが酷い。（そんな面子ばかり集まったのにも理由はあるが）一方、庶民代表のアニャちゃん扮するマーゴも、最初は何だか文句ばっかり言ってるなーという感じに見えるが徐々にそのしぶとさが見えてきて面白かった。

元々料理自体にあまり興味は覚えないタイプの人間なので、高級料理のうんちくを聞かされる感じではないのは嬉しかったし、むしろんなアホな！みたいなタイトルの料理が出てきて笑った。

私はごく普通の庶民だけれど様々な困難を乗り越えてきた（ように見える）マーゴのような逞しさは持ち合わせていないので、何年かに1回くらいホテルのバイキングに行って「ウマーイ」って言えるくらいが丁度いいです笑。

何事もほどほどが一番じゃない、スローヴィクさん？

※ネタバレあり感想※

的外れでご大層なうんちくの料理評論家、何を食べてるか一つも分かっていない不倫富裕老人とその妻、ITで財を成しながら不正しまくりの成金長者…

どいつもこいつもウザすぎる・・・！

なのでそういう奴らは容赦なく死ぬ！ありがとうスローヴィク！笑

唯一落ち目の映画俳優を演じているのが小物感あふれる役ならおまかせジョン・レグイザモ（ご本人はとても芸達者な個性派俳優。Netflix『サルでもわかる中南米の歴史』は面白い）はちょっと救って欲しかったけど、まあそうはいかないよね。はい、死にます笑。学費を出してもらってるという連れの女の子と、口出ししたら殺されたレストランのCEOはちょっと可哀想な気がしたけど。ハングリー精神が大事ということか。怖い。

この高級レストランはスローヴィクが統率する『軍隊』である。彼のパァッン！というデカい柏手一つで空気はビリッと緊張する。（ビビリの自分は途中からやめてくれぇ、となった）

従業員は彼の言うがままに自らの首を切ってコース料理の1種にされ、彼に気に入られて生き残ろうとマーゴに襲い掛かり、美食家気取りのタイラーはぐちゃぐちゃの自作料理を強制されられ、羞恥で勝手に自滅して死ぬ。

例え従順な従業員でも容赦なしに死の道連れにする！
俺は熱さや痛みも感じないぜヒャッハー！って人間やめたんかお前は。

この場にそぐわない予定になかった唯一の客、マーゴが生き残るのは必然。最後のチーズバーガーの場面はさすがのアニャちゃん独壇場の迫力。食べた後にフフフッて笑っちゃうの可愛い。スローヴィクが劇中で心の底から嬉しそうな顔を見せるのもココだけ。そうそう、シンプルにただ美味しいだけが一番よね。

セレブ達全員が終盤には全員逃げるのを諦めていたのもマーゴと対照的。
もっと頭使え！とも思うが自分の罪を悔いていただけマシなのかな。

人間スモアは盛大に笑った。
頭に乗っけてるものをペロッ・・・これはチョコ！やないんよ。
最後に笑かすな。

教訓。料理はウマウマ言いながら完食するのが一番と心得ること。
でもブツ撮りくらいは許してくれない？（心の声）