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[母への執着18]母との記憶 母の罪は甘受の強要、それなら私は

家を建てるとき、私はまたしても悩んだ。
実家の近くに住むべきか。

母にはずっと夢があった。
子どもたちで大きな土地を買い、子ども家族と母それぞれの家を同じ土地に建て、行ったり来たりする。
あなたは土地を、あなたは母の家を、あなたは車を運転手付きで買ってね、と。

幼いときから母の夢としてではなく、家族の夢として語っていた。
私たち子どもも何の疑いもなく同意していた。
それもあってか、この母娘関係にも関わらず近くに住むべきか悩んだのかもしれない。

しかし、兄がそれを止めた。
「おまえは母親から離れておけ」
そうか、うん、そうだな。素直にそう思った。
兄弟は私と母の関係をよくよく理解していたので、その兄が言うならそうだ。
母が言うスープの冷めない距離など、とんでもないことだ。

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