”400着の服を40着”にした人生 前編
400着の服を40着にした時、私の人生は明らかに矢印がぐるりと違う方向へ向きました。
思い返せば”足し算”の人生で30年以上歩いてきたわけです。
お給料をもらえるようになってからは、毎月のように自分を飾る「何か」を買うことを目的にする人生でもあったような気がするのです。
買わなきゃ損かも!
ブランド物も大好きでしたし、洋服やメイクも新しいものや限定品を買い漁っては、途中で飽きてしまって捨てる。着ないのに、好きでもないのに、少し安くなっていたら「買わなきゃ損かも!」なんていう強迫観念みたいなものに襲われて、お財布からポンポンとお金を出していましたっけ。
靴も本当に好きで、SATCのキャリーを地でゆきながら、ピンヒールで街を闊歩するのが好きでした。
そのくせに、毎日着る服に悩むわけです。
これにはあのブランドのあのトップスが合うよね?
だったら、買わなきゃ!
あーこのスカートには、ネイビーのパテントのパンプスが欲しいな!
だったら買わなきゃ!
という思考回路で購入に至り、また物が増える。
なのに、一向に着る服はない。
完全に、おしゃれにおける負のループ。
クローゼットをパンパンに埋め尽くす服を目の前にして、着ていく服に迷う。
こんなに洋服があるのに?こんなに靴があるのに?
色とりどりで取り止めのない、だけど大好きな洋服たちを目の前に
いつしかコーディネートが苦痛になる毎日。
私を素敵にしてくれるものはどこ?
私を綺麗にしてくれるものはなに?
そして緩む財布の紐……。
でも、きっと、このループに巻き込まれている人って多いと思うんです。
よぉぉく考えてみて下さいね。
400着も洋服があるのに、30足も靴があるのに、20個以上のブランドバッグがあるのに、今日着る服がない!
「どおぉいう状況ですか?」
今の私なら、あの頃の私に、笑いながらそう聞くと思うのですが、あの時は切実な問題です。
それが悪いわけではなく、今でも素敵なものを見るとワクワクする気持ちは変わりませんし、ブランド物にも心はちゃんと踊ります。
でも、そんな私がエシカルな暮らしに目覚めた十数年前、何かのスイッチがカチリと音を立てて変わるのが自分自身でもわかったのです。
おしゃれって誰のため?
エシカルな暮らしに目覚めたのは、子どもたちの誕生がきっかけでした。
詳しいことは、書籍にも書いたので省きますが、
この美しい地球を、出来るだけ美しいまま未来に繋げたい。
孫の孫の、そのまた孫も、美しい自然に抱かれる体験をして欲しい。
そのためには、今、私たちに突きつけられている課題を先送りにせず、
自分たちの世代で、何らかの回答と、何らかの地図を作るべきなのでは?と思い、
小さく、小さく、本当に小さくなのですが、個人でできるエシカルな暮らしを初めてみたのです。
そんな風に暮らしが変化し、思考が切り替わった時、ふとこんな言葉が頭をよぎりました。
「おしゃれって誰のため?」
いままで私が目指していたのはきっと、誰かに見せるためにするおしゃれ。
そこには、たっぷりの見栄と、溢れんばかりの自尊心が存在したのでしょう。
何度も言いますが、素敵になること。綺麗になることは。美しいもの。は今でもとっても大好きなのです。でも、そのためにこんなにたくさんの洋服はいらないのかも。
400着以上の洋服を前にして、そう思えたことが、私の人生をぐるりと変えるはじめの一歩だったのです。
さて、初めに何をする?
断捨離
こんまりメソッド
整理収納アドバイザー
モノを少なくし、家を整えるにはまず、こんなことが浮かびますよね。でもね、私、過去に全部失敗済み。
モノの住所を決めても、元に戻せません。
捨てる基準がわかりません。
ときめきってなんでしょう?
シンデレラフィットがいつしかずれておりますが何か?
これだけ書くときっとお分かりいただけますでしょうか?
私は、整理収納がとっても苦手だということを。
そんな私ですがお片づけ特集などを見るのは本当に大好き。
ピタッとおさまった引き出し、バシッと整ったクローゼット。
「おぉ、素敵にお暮らしではありませぬか!」と、舐めるように雑誌をめくる日々。
いざ!収納ケースを購入し、悦に入って思うのは「今度こそ!」
「今度こそ、我が家は素敵に変身するはず!」
ですが、そうは問屋が卸しません。
考えてみたらわかるはずなのですが、とてもとても雑誌のようにはいきませんね。
そりゃそうなんです。あれは、プロの技。プロの家なのです。
私のようなど素人が、一朝一夕、見様見真似で到達できるものではありません。
あの場所は、いわば、片付けを極めた方のサンクチュアリ。
きっと、きっとですよ。
あの紙面にうつる方々の家には、
「首元がよれっとしているけれども、まだ着れるやろ!」なTシャツや、
「先がひろがりまくっている歯ブラシは排水溝のために取っておきますでしょう?」な、見るも哀れな歯ブラシはないのでしょう。
恐れ入りました……。と、片付けを諦める日々。
私には無理なのです。
私の家は、永遠に片付くことはないのです。
文字通り「トホホ」なのです。
いや、でも、ここで諦めてはいけません。
以前の私と違うのは「エシカルを志すもの」だということ。
変わるなら今だよ梨田!と、自分で自分にカツを入れ、1番初めに決めたことは
「定数を決める」でした。
服は40着。
収納は、あらかじめ家についている収納以外使わない。
つまり、クローゼットや押し入れをフルに使って収納し、そこからはみ出す分は処分する。
これを徹底することにしたのです。
後編へ続きます→→→