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人生を燃やし尽くしたい!「プロメア」

 ものを作るって、大変だ。

 作業や手順自体は慣れれば良いことだが、もっとも大変で大切なのは「発想」の部分だ。

 例えば、ショートケーキはケーキの定番だが、スポンジケーキとクリームと苺のベストバランスを発見した人はすごい。文庫本は、読みやすく持ち運びしやすい形を考案した人がすごい。サーティーワンアイスは、31種類(厳密には32種類)をメニューに各だけではなく店頭に並べて見せると思いついた人がすごい。

 考えるだけは、できる。
 考えたことを、考えたように(もしくはそれ以上に)形にするのが難しい。

 映画「プロメア」は、公開前にはまったく知らなかったアニメ映画だった。
 テレビをあまり見ないため、新作の情報源は映画館の予告かSNSだ。(映画ライター、映画館、プロデューサー、俳優などのSNSから情報を得ている)
 封切り日に「かなり面白い」という評判を見て、へえーと思ったのが見るきっかけだった。
 ポスターを見ても、あまり自分の好みのテイストではないように思えたのだが妙に惹かれて、出先の空き時間にぴったり上映時間がハマって鑑賞。
(前回の「バースデーワンダーランド」もそうだったが、映画を見る・見ないは上映時間と場所も大きく関係するなと感じる)

 いやーーー、すごかった。

 ポスターは動かない。
 それがこんなにもどかしいと思うほど、オープニングからやられた。

 構図も配色も展開も音楽も、めちゃくちゃ格好いい。
 格好いいだけではなくて「何故そう作った!?」という発想の部分からしてやられた。

 例えば、緻密な描画が可能となった時代にあえて原色ベタ塗り。炎がバイオレットと水色!
 たしかに高温の炎はバイオレットや水色になったりするが、一般的なイメージはレッドやオレンジだ。
 そういう「普通」と言われているものをちょっとずつズラしているのだけれども、見ている人のリズムから外れ過ぎなくて、「すごい」という感覚を与え続けていくのがスゴイ。
 
 ストーリはシンプルで、炎上させる人と火消しの人が戦う物語。
 「放火」ではなく「炎上」というあたりに、受け手の想像力が喚起されるのも良い。

 私は陰と陽・光と影・肉体と精神等々の二元論の象徴が大好きで、「一見真逆に見えるものでも、そんなに単純に切り離せるものではない」と思っている。
 だから、炎上させる「マッドバーニッシュ」と火消しの「バーニングレスキュー」の戦いは、個人的に大好物な展開だった。

 正反対のものは、お互いに関係しあって生きている。
 火と水を併せ持ちつつ、思いっきり燃やし尽くす人生を生きたい。

 そして、このプロメアを作った人たちは、間違いなく「燃やし尽くして生きている人たち」なんだなと感じる。
 それが、この映画を見る一番の魅力かもしれない。

<Spark Joy!>

★あの色の発想はどこから出てくるんだ!?という衝撃。
配色のセンスに完全にしてやられた。
かなり際どい色合わせなのに、全体で見ると格好良くなっている不思議。
特典ディスクが発売されたあかつきには、是非解説してほしい。
特に、色彩設計をされた方のお話も読みたい。

★口コミでも相当話題になっているけれど、俳優さんたちの上手さがハマっている。
アニメは声優さんに演じて欲しいな…と常々思っているのだが、この作品はみなさん適役で良かった!

★陽の光のゴーストフレア(キラキラした光線の形?)が、ずっと四角だったのに戦いが終わってからは丸になってる!?
(まだ一回しか鑑賞していないので二回目でもう一度確認したい)
角ばったものが丸くなったという表現でここまで使ってたのなら、楽しすぎて仕方がない。

<Please!>

★序盤、ちょっと声が聞きずらいところがあったのだけが残念。

★パンフレット購入したが、もっと制作秘話などを読みたい…!
(また言う。笑)

★入り口で渡される特典、何の知識もなかったので、ただのカードかと思っていた…。
Twitterで「あれを開けてない人はいますぐ開けてね!」というどなたかのつぶやきを見て、助かった。(期間限定の特典映像へのリンクがあるよー!)
気づかずに、「カードだ…汚さないように開けないでおこう」という不幸な人が出ないように、「Open」とか書いた方がいいのかなと思いつつ、やりすぎるとサプライズがなくなってしまうので難しいな。

<プロメア>

公式サイト 


監督 今石洋之
脚本 中村かずき
キャラクターデザイン コヤマシゲト
音楽 澤野弘之
キャスト 松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人

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