【ジャワ日記.0 プロローグ 熱の香り】
気づくとインドネシア中部ジャワのこの地に私は降り立った。
日本とは異なる灼熱の太陽がじりじりと白い肌に突き刺さってくる。
じっとりとした空気はこの国独特の香りを彷彿とさせる。
この暑さは、なんでも「大丈夫」「どうにかなるよ」というインドネシア人気質を生み出していた。
「ドキドキ」という子供じみた言葉しか出てこない自分が恥ずかしいが、
この異国の地に降り立つ楽しさは高揚感と希望に満ちていてトレジャー精神を掻き立てる。
大学生の時、ゼミの友人たちとアメリカのロサンゼルスに旅行にいった時の楽しい気持ちと変わらない。
先進国と言われている国には私はまだ失われていない人間本来の人間臭い感情が残っていると思う。
日本ではボーダレス化でグローバル社会でインターネットで仕事もどんどんできる時代になっているというのに、田舎で生まれたインドネシアの子は村から一生でることがなく、その村で余生を過ごすことだってある。もちろん、飛行機すらも乗れない。そんな自由と不自由さをみることができる。
不便さは時に、人間としての生き方や気持ちを思い出させてくれる。
私からすると、両親の若い頃の時代といったところか?
電灯も少なく、光があってもキラキラと明るくないオレンジの弱い光。
自然の流れでその時間に逆らわずに生きる。
夜になったら寝て、朝になったら起きる。当たり前のこと。
緑が溢れていてマイナスイオンの塊の中に入っていくよう。
自然はやはり人を自由にするパワーがある。
私の中には、心が動かない生活より大変でも心が動く魂に響く感覚を味わっていたい気持ちが湧き出てくる。
私にとってインドネシア中部ジャワとは熱の香りで細胞の一つ一つを本音に戻し、大切な想いを感じさせてくれる場所だ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?