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ドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」第2話までの感想
現在放送中のドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」第2話を観てから、どうも自分の情緒がおかしい。
Xで感想を書きたいが、ポストに文字数が収まらずまとまらず、書いては消し、書いては消し…
そんな時はnoteが最適。いくらでも編集できるし、文字数の制限も時間の制限もなく、自分の満足がいった時点でアップするもよし、しないのもよし。まだ観ていない方への配慮も、ネタバレありのタグがあるから書きやすい。
こちらは一視聴者の個人的な主観で書いている感想です。合わなかったら離脱してください。
タイトルや写真から、高校生の若者達のピュアでキラキラな明るい作品だと思い込んでいたので、第1話を観た時、わりと驚いた。まず、映像の質感や音が落ち着いて美しく非常に好みでした。
冒頭から過去を遡る形で描かれているので、徐々に色んなことが明らかになっていくのでしょう。
この作品では「水」がモチーフとしてたくさん扱われていて、最初に印象的なのは、蛭川の蛇口を逆さにした噴水のような水浴びのシーン。言葉にしたら、瑞々しい若さ、行き場のない苛立ち、もどかしさ、あたりかな?と思うのですが、なんだか妙に画が良くて、目が釘付けに(あれ?もうこんな序盤に、この沼に踏み込み始めとるやん私…)
同じ学校にいても全く交わることのないはずだった二人の世界線が、ふとした事で交わり始める、水無瀬に不意に飛んできた水飛沫が今後の展開を暗示しているともとれるシーンでした。
第1話で海外在住の母親と電話中に水無瀬が偶然、蛭川家のDV現場を目撃してしまい、秘密を共有することになる。この時点では水無瀬は「傍観者」であるが、知ってしまったことで、少しずつ気持ちが動き出して、関わらないでおこうと思いながらも気になってDVについて検索してしまったり、自分のものでないタバコをお前のだろと先生から濡れ衣を着せられてももう諦めて否定さえしない蛭川を目で追ってしまったり。
傷だらけで夜の公園で横になっている蛭川に、自分の持ってる水を飲ませてあげる水無瀬、きっとそういうことはしたことがないから当然うまくできない。でももう一回って、言われるんですよね。
そして2回目はそっと顔に手を添えて優しく飲ませてあげる。なんだろう、水飲んでるだけなのに、蛭川は妙に美しくて、人間離れした別の生き物のようにすら見える。神々しくて、生々しい。
第1話のラストで、傷の的確な位置に湿布が貼れていない蛭川の背中から、家に貼ってくれる人がいない、人に身体を見せられない、頼れる人がいない、彼の孤独を察した。
またそれと同時に、湿布を張り替える手当てなどきっと人にしてあげたことがない、力加減も分からない水無瀬の孤独も感じながら、最終的には傷跡にぴったり貼られた湿布に、パズルのピースが合ったような不思議な感覚がありました。
第2話では二人の住んでいる環境、家庭での様子、親子関係が丁寧に描かれていました。
水無瀬は父は映画監督、母は海外在住のバリキャリで家は広くてオシャレできれい。あ、でも高校生が勉強するには間接照明はちょっと暗いかな。もうちょっと部屋、明るくした方がいいね?目悪くならないように気をつけて?(いきなりお節介おばちゃん登場)でも、勉強してる時のメガネつけてる顔もかわいくて萌えなので、それはそれで…というかこのドラマ的にはこの雰囲気でオッケーです。
裕福な家庭なんだけど、お父さんは仕事できっと撮影やらなんやらで不規則な生活でほとんどいなくて、お母さんは日本にすらほぼいない。お金は振り込んでくれるから生活には困らないけど、家では一人ぼっちで、お利口さんな自分を演じることに慣れてしまって、まぁよく言えば信頼されてるんだけど、お母さんは塾の曜日すら把握していないし、自分の好きな食べ物も知らない。日本に帰ってきていても旅行やら予定を入れてほとんど一緒に過ごさない。
一見オシャレで豪華な食卓を一緒に囲んでいても、まるで他人で、遠い違う世界の人って感じ。
いやだってまずね、久々に息子とごはん食べるなら普通は息子の1番好きなもの作るやん!一口食べて「何これ?」って顔をしかめるようなもの、用意してる。これが象徴的だなって思いました。
お父さんの仕事に関してもなんだか上から目線で馬鹿にしたような言い方で、まぁもうほぼ別居してるし、夫婦としては終わってるのかもしれないけど、息子にそんなふうに言うのはどうかと思いますね。
でももう水無瀬はそういうお母さんの態度にも慣れてしまってて、面倒だから聞き流してる。
もちろん私もワーママだから、このお母さんの家計を主に支える責任感とそれだけ稼げる能力、オシャレでおキレイにされている様子はすごいな、かっこいいなと思ってて、単純に尊敬してます。
はぁなんか、女性が子どもを育てながら働くって、大変よな…ワークライフバランス…言うは易し行うは難し…
蛭川の方は第1話で父親のDVが明かされて、第2話では家の中、彼の部屋まで見られたので、人柄やバックグラウンドを大体察しました。
家に入ってすぐのところに幼少期の仲の良い家族の写真が飾られたままになっていて切ない。ここからは私の想像だけど、幼少期は愛されて育ったんだけど、どこかのタイミングでお父さんが道を踏み外して(仕事がうまくいかなかったとかリストラされたとか?)病んでアル中になって、息子に暴力まで振るうようになってしまって、お母さんは出ていってしまった。蛭川自身は「お母さんは父親が自分に暴力を振るってることを知らない」って言ってたけど、お母さんがそんなこと気づいてないわけないねん。気づいてて、気づいてないふりして、出て行ってしまってる。なんて残酷。
でも、蛭川は父親を自分が食い止めてるって使命感がないと、この辛さに耐えられないのかもしれないね。健気な美青年のまっすぐな想いに胸が締め付けられて辛い。
第2話では、蛭川は映画が好きで、1番好きな映画監督が実は水無瀬の父親だった!という、もう二人は出会うべくして出会った、運命的なトキメキを感じてしまうのですが、今まで何を考えてるのかよく分からなかった、いわゆる不良の蛭川が、ぐっとこっち側に寄ってきた瞬間でもありました。
何を隠そう私も、この10年ほど映画監督の推しがおります!あ、もう監督に沼った経緯もnoteに書いたので、ここでも名前出しちゃいますね、田口清隆監督です。そしてもっと言うと、仮面ライダーガッチャード、田口監督担当回の4回分だけ観ましたすみませんっ!!育児に追われてて本当に自分時間が少なくてなかなか観れてなくて…泣
まぁいい、自分のことは。それより、私が第2話で1番いいな!!!と思った瞬間が、蛭川が自分の好きな映画監督のことを「大好き」って言った瞬間の、パァァって明るくなる表情です!!!
え、まじでめちゃめちゃ共感。多分私も、好きな監督の話してる時、こういう顔してる。
壁面にびっしり並んだディスク、その量があってもパッと取り出せるくらい繰り返し観ている大好きな作品。そして自分の部屋に、目の前にいる、淡く特別な気持ちを抱き始めている彼が、その監督の血を引く息子。もしかしたら彼の持つ独特な雰囲気や、かわいらしいお顔に面影を感じたり、過去に読んだインタビューからの子どものエピソードを思い出したり、この数秒で蛭川がどんなこと考えてるのか私には想像がつくし、モノローグやセリフで説明しすぎないで、想像できる余白を残してくれてるところが良い。
自分の父親の作品に対して関心はあるものの、あまり母親からは観ることをよしとされていない、無関心を装うことに慣れてしまった水無瀬は、この作品の内容にはいまいちピンときていない様子。
そんな水無瀬に自分の好きな映画の良さを語る蛭川の表情が、学校では絶対に見せないような柔和な優しい顔をしている。自分の置かれた境遇にもどこか重ねて観ているともとれる、でも初めて観た水無瀬にも分かりやすく、丁寧な話し方。
あぁこんな素敵な時間が共有できる人に出会えて、本当によかったね、って思うのも束の間、帰ってきた蛭川の父親の怒鳴り声が聞こえて、現実に引き戻されて。傍観者だった水無瀬が、間接的にではあるが、この家に入ったことによって被害者、暴力を受ける当事者の感覚を知ることに。
過呼吸になりながら通報しようとするも、震えながらも手が止まってしまう水無瀬。自分は自分で色々抱えている。親からの期待、先生からの期待、成績、受験…あぁわかるよ、その葛藤。通報したら自分の個人情報も記録に残るし、なんでここにいたのってなるし、親にも連絡がいくし…
学校で蛭川の空席を見て、第1話の時はスルーしていた「留年」って教師の言葉がひっかかるように。
夜いつもの公園、いるかなと思ったらやっぱりいた。(この公園はきっとこれから聖地巡礼人気スポットになるね?)同じ場所だからこその、第1話との二人の距離感の対比が効いていて、水無瀬がすっと蛭川の横に、同じ方向に座り込んで話しかけるところがすごく好きでした。あと、蛭川の服装諸々、なんとも…非常にビジュが良い。
ここでも水をパシャっとする演出もあって。
家に来てもいいよって、だいぶ相手のこと信頼してないとできないですよね。あまりにも「かわいそう」ではあるんだけど、それだけじゃない、寄り添いたいって思ったんじゃないかな。まだ高校生だし、水無瀬は無関心を装うのに慣れてるから、それほど表情には出ないけど、そこがいい。
この後の水無瀬の家での二人、並んで一緒に映画を観て同じ時間を過ごして、蛭川の方も水無瀬が置かれている家庭環境、孤独を知ることになり、さっき自分に向けられた「かわいそう」を返すことになるんですが、なんか全然境遇の違う2人に、同じ言葉を当ててるのがまたいいなぁ、と。
この後の蛭川からのキスシーンが、すごく繊細な壊れそうなものに優しく、そっと触れるような、言葉にならない感情が伝わってきて、非常に美しかったです。
私は強引なキスシーンや壁ドンなどがフィクションでも苦手で、この春にそうでない恋愛ドラマを見つけてその作品をずっと深く愛していますが、やっぱりこれからの時代の恋愛ドラマはこうして性的同意に基づいた配慮のあるものになっていくんだなって、この「未成年」でも感じられて、嬉しかったです。
なんとか第2話までの自分の感想をまとめることができました。これで、やっと第3話を観ることができます。楽しみです。ここまで長々と読んでくださった方、ありがとうございます。
今回の画像は、noteのみんなのフォトギャラリーから検索して拝借しました。クリエイターさんご提供、ありがとうございます。