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それでも地球は曲がってる。

吾輩の名前は、リュウキュウジュウサンホシチビオオキノコムシという。

日本で一番長い虫の名前らしいが、案外気に入っている。ちょっと長いからリュウとでも呼んでくれ。


我々の生態はあまり知られていない。
我々は木を好んで食べているが、時折赤い実を食べると別の生き物の体内に転移するのだ。

吾輩は意識を保ったままその体を操ることができる。持ち主の意識は深く眠ったままに。



とある夜、吾輩は全く動けない体に転移した。
ベッドの上で横たわる少女、その手首からは赤い血が流れている。吾輩は包帯を巻くとひたすら朝まで眠り、母親の持ってきたご飯を食べ、また眠った。


数日経つと、その体は起き上がれるようになった。
母親の喜び泣く姿を前にして、体の奥で少女の意識が反応を示す。再び赤い実を食し吾輩は元の虫の体に戻った。吾輩にとってはダラダラしながら、食を貪っていただけだが。



戻った吾輩は樫の木をひと齧りし、その穴で惰眠を貪る。嗚呼、やはり最高だ。いくら地球が曲がってどの体になろうとも、吾輩は吾輩のままがいい。

もし生まれ変わることがあるのなら、吾輩はまたこのリュウキュウジュウサン…なんとかになりたい。


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