松ぼっくりのお布団|掌編小説
「お母さん、どうしてうちには、サンタさんこないの?」
「サンタなんているわけないじゃない。あんなのただの作り話よ」
「でも、でも、お友達のハルのうちには、去年来たって..」
「夢みたいなこと言ってないで、早くお手伝いしてちょうだい」
ヨルは、しょんぼりとして森に出かけていきました。
ヨルは、松ぼっくりの子。
ヨルの家には、お父さんはいません。ヨルがお母さんを手伝って、なんとか2人で暮らしています。
松ぼっくりの家は、松の木が茂る小さな穴の中。
穴の中にはトゲトゲの葉っぱを敷くから、誰も入ってこれません。けど、ちょっぴり寒いのが難点。
お母さんはいつも入り口側で寝ています。
冬は北風が入ってきてとても寒いのに、ヨルのために我慢しているのをちゃんと知っていました。
サンタさんに、お母さんと入れるあったかいお布団をお願いしたかったんだけどなぁ…
ヨルがとぼとぼ歩いていると、向こうからリスのハルがやってきました。
「あっ、ヨル!今日ね、アドベントカレンダーにサンタさんの帽子のクッキーが入ってたの。でね、ヨルに去年サンタさんが来なかったの思い出して、だから、コレあげるの」
「えっ、あ、ありがとう..」
ハルは忙しそうに木々を伝って駆け抜けていってしまいました。
ヨルは、クッキーをひと口かじります。
ぼく、いい子じゃないのかな..
こんなにお手伝いしても、
まだだめなのかな..
サンタ帽のクッキーは、甘くて、おいしくて…途中でぽろりと涙を一粒こぼしたら、最後はしょっぱくなりました。
その日の夕方、ヨルが夕ご飯のために水を汲みに歩いていくと、何やら赤と白の大きなものが落ちています。
近寄って触ってみると、ふわふわしてあったかそう。
「なんだろう?落とし物かな?」
辺りには誰もいません。
ヨルは、その大きなふわふわを引きずって帰ることにしました。
「あらっ?ヨル、これはどうしたの?」
「森に落ちてたの。誰もいなかったから、持ってきちゃった」
「これは、森のみんなのものじゃないわね…分けられない落とし物は、拾ったもの勝ちなのが森のルール。おそらく、サンタさんの帽子だわ」
ふわふわがついた赤と白の大きな帽子に、ヨルはそっと入ってみました。
「あったかーい!!」
「まぁ、これは素敵ね。さっそくお布団に使わせてもらいましょ」
その夜、ヨルたちはサンタ帽にすっぽり体を入れてくるまりました。
ヨルの家の上にある大きな松の木には、お星さまひとつ腰を下ろしていました。ヨルはどこかから聞こえるかすかな歌声を聴きながら、久しぶりにぐっすりと眠ることができました。
アドベントカレンダーの『サンタ帽』と『松ぼっくり』からの勝手にサイドストーリーでした🎅⭐️
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