わたしに贈る短歌集①

この闇を超える理由になるならと
夜な夜な仕込むフレンチトースト

目前のランドセルから生えた羽
迷い込んだ天使の通学路

控えめな音が報せる炊きあがり
私の家の炊飯器 かわいい

「手作りのロールキャベツが母の味」
君は愛され育ったんだね

筆ペンで "今日のオススメ" 朱色○
また会いましたね、赤ペン先生

とりあえず生で動揺飲み込めど
私の箸から逃げるかんぱち

無駄にしたあの日の検索履歴見る
【えいごであそぼ ゴミみたいなやつ】

マーチンのやらかくなった革を見て
天満のどて焼き思い出す

気付いたら既に冬服並んでて
夏に閉じ込められてる私

「ここでしょ？」と探られし我がG線上
いつも手前で有り余ってる

てっぺんで固定されてるシャワーヘッド
昨夜の温もり水で流した

3体のプリントされた2pac
着るだけで6pacになれる服

送る度「トイレ貸して」と父が言う
大丈夫 ちゃんと生活してるよ

うたを詠み うたを書いたら いつの間に
世界がリ・ズ・ムになっていた

死ぬなよと言ってくれた君となら
落とす針先，Born to Die

人生に蛍光ピンクの線がある
BICの横のラインマーカーズ

似合うかな 大きめの帽子 試着して
鏡に映ったジャミロクワイ

「嫌な事、全部踊って忘れましょう！
今日から貴方もジャンボリ教！！」

花のうた 海のうた またキミのうた
ドラマティックになり過ぎるので。

ラブベリのラブが好きならイエベだし
キュアホワイトならブルベなんだよ

妹よ 吸うのは勝手よ 嗜みよ
男の煙草に火は付けないで

唇にクリーム付けて退屈そうに
クレープ食べてる君が綺麗で

奥が好きって知っててわざと触れてこない
私の心の奥の方

予定無い日にこそえっちなパンツ履き
自分の為に作る味噌汁

唇より眼赤く染め探す紅
求める者を怪物にする

トラウマを超えた数だけ増えてゆく
愉快な顔した 虎 とら TORA

そのカラダ素直なカラダは良いカラダ
教えてくれたのは君だから

「花壇ある方の道から帰ろうよ」
セフレのわりにロマンチックね

冷蔵庫 並ぶ信号 S&B
黄色はずっと点滅してる

日本より活き活きしてた台湾の
青信号の中のおじさん

カリフラワー あんこ ドビュッシー 小伝馬町
エロくないのにエロく聞こえる

白人のちんぽの味を知った友
「あれは体験版ポルノハブ」

見てるだけ、飾るだけまた買っただけ
叱ってくれる人がいなくて

アメ横でパチモン売ってる外国人
これを HIPHOP と言います

自慢気に「梅沢富美男の事務所ココ」
言った直後に出てくる富美男

赤信号よりも発光する赤は
富美男を乗せたミニクーパー

サンマルク イヴ・サンローラン サンタさん
Saint つけたら えらくなれるの

何となく理由は無いけど絶対に
車力の巨人だけは嫌。

えんじぇるのおしり横目に冷ます熱
ふーふー 息すらミラノ風

水面ごとナルキッソスの抱擁が
愛する技法の花となる

汗ばんだ背中の滑走路 君は操縦士
あの日夢見たエールフランス

その肌に白で：：縫い付けて
マルジェラの屋号頂戴する

鬼になり 生まれ変わって見つけ出す
君がひとりで泣かないように

花嫁がヴェールの下で言った気がした
「逃げて」

間違えて買ってしまったシングルロール
涙拭くのに丁度良かった

今日もまたふたり口づけ交わす頃
鶴太郎が目覚め始める

熱帯夜 金曜ロードショー グーニーズ
大人になんかなりたくないね

ねえいつか ボクらが大人になったらさ
ミスドのある街で暮らそうよ