はじめての最後#18
もし○○だったら。って考え始める時って、今の自分から逃避したくなっている証拠だろうか。
もし
私に待っている男がいなくて、
もし
彼に遠距離恋愛中の彼女がいなくて、
もし
…それ考えてどうすんだ?
未来がないってわかりきってたことを始めておいて
未来を夢見たくなるなんて。
今さえ楽しければそれでいい、そんな風に思えるのならそう思いたい。
だけど、何をしていても、いつも頭に心にとだいすきな彼が現れ始めると
「この渋滞を一緒にいたらどんなだったかな」
「このお料理、彼は好きかな」
「こんな姿見せたら、彼はなんて言うかな」
常につきまとう。
そのうちに、もし〜だったら…と進行する訳だ。
私が本気で1番恐れていることは、自分できちんとわかっている。
それは、彼が本気で私を好きになること。
心から願いたいことこそが、何よりもダメなこと。
私はもうだいすきになっているし、彼にも毎日私を思い出してもらいたいし、私を求めて欲しい。
でも
彼の彼女にはなれない。
心配無用だろう、間違っても彼は私なんか選ばないだろう、それは冷静にそう思うけど。
彼が、あの優しい眼差しで私を見つめながら
私の頬をそっと撫でてくれる瞬間とかを思い出すと
女遊びをする時間のない人生を歩んできた彼が
血迷ったりしないかしら…と少し心配になる。
今お付き合いしている遠距離恋愛中の恋人さんは
どんな方なのか…2人はどんな恋愛をしているのか
聞いていない。
もう彼と会わなくなる前に、聞いてみたい。
彼は引っ越す先に遊びにおいでと言っている。
新幹線で2時間あれば着く所。
毎週末必ずその距離を移動している人にとってみれば
大したことじゃないのでしょう。
私にとっては、男に会うために新幹線に乗る自体が
おおごと、なのだけれど。
その時は、泊めてくれるのですか?
今日も明日も、私を思い出す瞬間はあるのですか?
私は…
きっと叶わないだろうけど
あなたにお裾分けできる量のおでんを作ろうと思う。
ねんのため。
未だに、彼から誘われたことすらない私。
次に会う約束がない今、彼から誘ってくれる日を
待つ方がいいと思う。
でも、そうなってくると
そうはなってはいけないんだから、と。
私だけが彼を追いかけて、彼は優しいから受け入れてくれて、離ればなれになったらそうっと諦めていく。
それがいちばんいいんだから。
なんでこんなことを始めてしまったんだろ。
男の面会に、行ってあげないと…
2時間かかっておでんはできた。
このおでん、男の大好物だった。
それを思い出したり、彼が好きなおでんの具はなんだろう?と思ってみたり。
今日のおでんは今シーズンの初にして、史上初の複雑な隠し味のおでんになった…かもしれない。
「おいしいおいしい」
と食べる子供達の食べっぷりに、安堵した。
私は食べる気になれず、りんごを食べた。
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