ショート怪談「手紙」
郊外に住む長門(ながと)さんには、ある悩みがあった。
それは、毎日、謎の手紙が送られるというのである。
勿論、差出人誰かも見当がつかずしばらく無視をしていた。というのもその手紙には文字の一つも記されていないのだ。
その悩みを友人にしたところこんな提案をされた。
「火で炙ったら?」
長門さんは何を言い出すんだこいつと思っていたが、続けて友人はこう語った。
「火で炙ったら文字が出てくるんじゃない?」
長門さんは帰宅後すぐに手紙の一つをライターを使って炙ると友人が言った通りに文字が浮かび上がった。
「コレヲミタオマエへ」
その文字は血のごとく赤い。
そして長門さんは他の手紙も同様の内容だった。
そして最後に今日送られた手紙を炙ると………
「ズットオマエヲミテイル」
その時、背後から足音が聞こえた。
そこにいたのは…………
包丁を持った黒い女が立っていた。