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ショート怪談「帰宅」

真面目な男子大学生の浜田(はまだ)さんは講義を終え自宅に戻ろうとしていた。浜田さんにはある悩みがある。それは、大学から自宅に帰るときに何者かに追われているような感じがしていることだ。


そして今日もその帰り道に何者かに追われているような感じがしていた。背後から足音が聞こえるような気がした。振り返ると、そこには誰もいない。しかし、足音は確かに近づいてくる。


今日はいつもの感じとは違った。追われている感じはしていたが、いつもより距離が近いような気がした。街灯の明かりが途切れるたびに、心臓が早鐘を打つ。影が揺れるたびに、背筋が凍る。


振り返ってみるとそこには誰もいない。気味が悪くなった浜田さんは駆け足で帰宅した。


その後、家にたどりついた浜田さんはある異変に気づいた。なんと部屋の中がまるで嵐が通り過ぎたかのように荒れ果てていたのだ。家具は倒れ、書類は床に散乱していた。浜田さんは動揺を隠せない。


浜田さんは警察を呼ぼうと携帯を手に取り110番通報した。電話に出た瞬間、冷たい声が耳に響いた。


「 オ  カ  エ  リ 」


電話に出たのは警察官ではなく見知らぬ女の声だった。その声はまるで氷のように冷たく、背筋が凍る思いだった。

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