冷静と情熱のあいだ、のあとで
運命って信じるかい。
映画化された恋愛小説。
すごく大好きだった小説。
あなたはその本を好きだと言った。
場所はたしか
ちいさな居酒屋さんだったかな。
とても嬉しかったよ。
初めてわかりあえる人に出会えたんだって。
でもね、それから先はことごとく踏み躙られてしまった。
ずっと人知れず心のなかで
憧れて大切にしてきた夢は、すっかり
黒く黒く塗りつぶされてしまった。
もう戻れないんだろうな、
汚れてしまったな、消えたくなるな。
だけど、いま、そんな体験を経て気がついたことがある。
もしかすると、ほんとうの愛は、
経歴や正論を並べたり、他人に褒められるような上辺だけの台詞をみせることではなくて、苦しくても飾らずに相手に向き合い続けることなのかもしれない。
出会えたひとりひとりと
たくさん話して泣いて笑って、俗に汚れて、
醜いところもみせてお互いにばかみたいになんどもぶつかって、傷ついて磨かれて、ようやくみえてきて光ってきて、一生かかって育ててゆくもののような気がするの。
だから、たまらなく孤独だけど、どうしようもないさみしさもあるし辛いけど、
そんなふうにひとを愛したい。
待ち合わせ場所でわたしをみつけたときの
あの日の笑顔だけは、嘘はなかったと信じることにする。
そのことに気づかせてくれたひとへ。
本当にありがとう。