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あなたは編集者とライター、どちらに向いているのか① 編集者編

前回、編集者とライターの違いと、それぞれの仕事についてお話ししました。

文章を仕事にしたいと思う方であれば、次に気になるのは「じゃあ、どんな人が編集者やライターに向いているの?」「私は編集者やライターになれるの?」ということですよね。

それぞれにどんな人が向いているのか、私見にはなりますが、解説していきたいと思います。

■編集者に向いている人は?

まず、おさらいしますが、編集者の仕事は前回書いた通り、

意図をもって情報を集め、整理して構成を考え、何らかのアウトプットを生み出す

こと。

アウトプットのかたちは、雑誌であったり、本(小説・まんが・実用書)であったり、新聞やテレビ、映画、そしてwebの記事であったりと、さまざまです。

では、この編集の仕事には、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

私は、以下の三つではないかと思っています。

①企画力
②かわいがられ力
③ディレクション力

では、順番に解説していきましょう。

■編集者に求められるスキル①企画力

何の編集かによって求められるものは違いますが、共通して必要なスキルが「読み手を理解し、そこに響くコンテンツを練る企画力」ではないかと思います。

インタビュー記事であれば、誰に、何を聞いて、どんなふうに発信するか。面白そうなAさんという人がいたとして、その人にどんな質問をぶつけるかが、編集者の力の見せ所なのです。

例えば、「新R25」というメディアのこの記事。

新R25編集長の渡辺さんが、ホリエモンこと堀江貴文さんに「モテる男」論を聞いています。だいぶグダグダな感じになっていますが、そこも含めて面白い。

ご存知のとおり、堀江さんは別に、恋愛のプロではありません。
でも、イケメンではないのに、しばしば美女との熱愛が噂されています。もしかしたら何かすごい恋愛テクニックがあるのでは? と気になりますよね。

ちなみに新R25のターゲット層は、20代のビジネスパーソンです。仕事のことはもちろん、お金の話や、恋愛のことも気になる。そんな世代に響くコンテンツを、発想力や企画力、情報を組み合わせる力によって生み出しているのです。

こうしたターゲットへの理解も、企画をする上では欠かせません。あなたがもし50歳の男性だったとして、いきなり「女子高生に響く企画を考えて」と言われても難しいでしょう。

どうしても企画しなければならないのなら、実際に女子高生たちに話を聞きまくるとか、女子高生の調査をするとか、女子高生の間で流行っているお店に行くとかいった努力を重ねて、女子高生が何を考え、感じているのかを理解する必要があります。

■編集者に求められるスキル②かわいがられ力

では、努力を重ねて、企画を立てたとします。
それを実現するためには、どのような力が必要なのでしょうか。

ここで重要になるのが、「かわいがられ力」です。

これは、単に知り合いがたくさんいるということではありません。
Facebookの友人が3000人いたって、誰も「あなたのために何かしてあげたい」と思ってくれなければ、そのつながりに意味はないのです。

この「あなたのために何かしてあげたい」と思わせる力が、かわいがられ力。

たとえば、あなたが【Aさん】に取材をお願いしたいと思っていたとして。

もしAさんと共通の知り合い【Bさん】がいて、Bさんが「こいつの取材を受けてやってくれ」と口添えしてくれれば、取材はスムーズに実現するでしょう。

あるいは、すでに知っている【Cさん】に、少し変わった切り口で取材を依頼をしたい時。「他の人だったら断っていたけど、この人に頼まれたら断れないな」という信頼を獲得していれば、OKされるかもしれません。そうすれば、他のメディアではマネできない企画が生まれるのです。

かわいがられるためには、社交的でいつでもにこやかで、コミュニケーション能力がべらぼうに高くなければいけないかというと、そうではありません。

ちょっととがっていたり、斜にかまえていたりしてもいいのです。「なんか変な奴だけどおもしろいな」というタイプでも、「良い人ではないけど飲み会には呼びたいな」というタイプでも大丈夫。自分なりの愛され方を見付けて、関係を築ければ問題ありません。

※あまりにもマナーがなってないとか、社会人としてどうなの? というのは個性以前の問題なので気を付けましょう。

これは、小説の編集でも同じです。作家の森見登美彦さんを担当しているKADOKAWAの小林さんは、小説の編集者にもいろんなタイプがいて、自分の強みは『作家の「遊び」へのつきあいがいいこと』だとお話されています。


■編集者に求められるスキル③ディレクション力

では、すごい企画をつくって人脈をつてに依頼ができれば、いい記事をつくれるかというと、それは違います。

実際にコンテンツを実現する上で不可欠なのが「ディレクション力」です。

編集者とはアイディアを出すだけの仕事ではなく、そのコンテンツが世に出るまでの調整や管理を行う仕事でもあります。

カメラマンやライター、取材相手、デザイナーなど、さまざまな人間とかかわり合いながら、調整をする。コンテンツを作る責任を担っているのです。

締め切りに向かって、社内外の人とコミュニケーションをとり、メールや対面でやり取りをする。プロジェクトが円滑に進む心配りとサポートをする。そんな、一種のマメさが求められる仕事だといえます。

こうした地味な作業を嫌って、「もっとクリエイティブな仕事をしたい」と考えるようなタイプの人や、そもそもメールや締切が苦手なタイプの人は、あまり編集者に向いていないかもしれません。

■まとめ

ここまで、①企画力 ②かわいがられ力 ③ディレクション力という三つのスキルについてお話ししました。どうでしょうか。「自分に向いているかも」と思った方も、「難しそうだ」と思った方もいるかもしれません。

学生さんと話すと「編集者はデスクに向かっているイメージ」といわれることがあります。

しかし、編集者になって個人的に感じたのは、「思ったよりもたくさんの人と関わる仕事だ」ということ。取材相手はもちろん、企業の広報の方や、カメラマン、ライターとやり取りする必要がありますし、もちろん社内の人間とも連携しなければなりません。

大変なこともたくさんありますし、スケジュールが動かせないコンテンツの入稿前などは、どうしても忙しくなります。
もちろん会社やメディアにもよりますが、編集は「仕事が大好き」という人が多い職種だと思います。残業を苦にしない人も少なくありません。加えて、業務時間以外にも「何かいいネタはないかな」「面白いテーマは何だろう」と常に考えいるので、仕事と私生活を切り離しづらい仕事です。

もしワークライフバランスを重視するタイプであるなら、仕事に就く前に、そのあたりを改めて考える必要があるでしょう。

次回は、ライターに向いている人の傾向をご紹介。

さらに、そのあとは編集者やライターにどうすればなれるのかを解説します!

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