p.13【学び】チェルノブイリの例から見るダークツーリズム
カンボジアが大好きな私はカンボジアにおけるダークツーリズムばかり見ていましたが、ウクライナ(旧ソ連)におけるダークツーリズムも大変興味深く、学びがたくさんあったのでここに綴っておきます。
まず、先ほどから連呼している、"ダークツーリズム"とは何なのかについて。
ダークツーリズムはその名の通り、戦争や災害、虐殺などが起こった地を巡る一種の観光形態のことです。
次に、チェルノブイリにおけるダークツーリズムについて。
1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国に位置するチェルノブイリ原発で原子力発電開発史上最悪の事故が発生しました。この消火作業に当たっていた方が大量の放射線を浴びて死亡したり、周辺地域に住んでいた方が、癌を発症したり甚大な健康被害が出ました。
事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所から30キロ以内の区域は、今も立ち入りが禁止されており、その区域内の町・プリピャチでは、アパートや政府庁舎などの建物が放置されたままとなっています。写真でこの町を見ましたが、ボロボロになった廃墟、錆びついた公園の遊具など、まさにゴーストタウンのような光景でした。
そして、当局の許可を得て30キロ以内の区域に入るツアーが組まれ、観光客が急増。ウクライナ政府によると、2019年には、前の年を70%も上回る10万人以上が訪れたそうです。
そうです、この負の遺産を巡る観光がダークツーリズムです。
人間は忘れてしまう生き物だから、この負の歴史を繰り返してしまわないように、負の遺産としてしっかり残し、観光地化させ、多くの人に訪れてもらう必要があるのかもしれません。また、タブー化させてしまえば、この件は触れられなくなり、風化させてしまう。
しかし、被災者の方々にとっては、辛い記憶で、思い出したくも、見たくもないものかもしれません。
観光地化させてしまえば、軽い気持ちで無責任にこの地を訪れる方が増えてしまうかもしれません。被災者にとってはそれは悲しいことなのではないでしょうか。
では、このチェルノブイリ原発を観光資源として扱うべきなのか?とても難しい問いで、今の私には答えが出せません。
しかし、今の私が1つ言えるのは、観光と原発事故という相反するものを掛け合わせることで、過去の記憶も、現在の複雑さも、未来の希望も全部見えてくるのではないかということ。
ダークツーリズムの是非はまだ私にはわかりませんし、善悪をつけられないものなのかもしれませんが、ダークツーリズムを通して、たくさんのものが見えてくるようになるとは思いました。
後もう1つ思ったことがあって、戦争、虐殺が起こってなければ、(自然災害は防げないからは仕方ないけど)こんな暗い観光をめぐる議論はなかったのかなあなんて思ったり。たらればの話をしても仕方ないんですけどね。
今日はここまでです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。