ドラマ|アンメット
いつまでも心に残る作品が、またひとつ終わりを迎えました。
「アンメット ーある脳外科医の日記」
俳優さんたちの息遣いや細部までのこだわり、ここまで追究されたドラマには中々出会えないんじゃない?と感じました。”チームアンメット”として、脚本家や技術さんなど、私が想像する以上の人々が関わって創り出されただろう作品を、本当に愛しています。
”俳優さんたち”と言いましたが、私の中で川内先生(杉咲花さん)や三瓶先生(若葉竜也さん)は一人の人間として生きていました。月曜日の1時間、川内先生の日常を覗き見れているだけで、どこかの病院で彼ら彼女らが働いている気がしましたし、居酒屋たかみは、お店の前を通ったことがあるかもしれない、そう感じてしまうのです。
三瓶先生のこと、月曜日を繰り返すうちにどんどん好きになりました。初めはとっつきにくそうなど、勝手に人付き合いが難しい方なのかな、と思っていましたが、私の勘違いで。医療や人を救うことへのこだわり、信条が強い三瓶先生は、川内先生を助けたい一心で現実に向き合い続けます。
三瓶先生の大好きなところは、人間なところです。看護師長の津幡さん(吉瀬美智子さん)に、「大事なのは今の気持ちでしょ?」と言われれば、こくりと頷き、最終回で「川内先生のそばにいてあげなくていいの?彼女の望んでいることをしてあげて」と言われれば、その助言を受け止める。決して頑固ではなく、今何が自分にできるのか、ということを頭だけではなく心も動かしながら考える三瓶先生が、とっても魅力的でした。
それでも川内先生を助けたい気持ちから、吻合練習は続けます。もう手術しかない状況に陥り、”8分”という数字にドキドキしました。と同時に、三瓶先生ならいける、と信じられる自分もいました。一方で、大迫教授の「10分の壁」が頭をよぎり、川内先生の未来はどうなるのか、とハラハラが止まりません。
この時、私は”ドラマだから、助かる”などという考え方は吹っ飛んでいました。あの場には三瓶先生がいて、大迫教授がいて、綾野先生や星前先生、津崎師長、成増先生…と、あのチームなら川内先生を助けられる、助けてくれる、と祈っていたのです。それだけ、彼らのこれまでの実績や努力、信頼にはキャストを超えたものがありました。
もはや、現実なのか物語なのか。そんな風に感じられるのも、杉咲花さんをはじめとする俳優陣の演技力がずば抜けていたからに違いありません。最終話の開始5分で涙なみだになれるのも、川内先生や三瓶先生に10話分以上の愛があったからです。
二人の過去が明らかになるのが最終回であり、過去の隙間を埋めるような出来事が事細かにわからなくても、二人を繋ぐ絆や愛は、深く大きいものだと感じることができました。願わくば、ラストシーン「わかります」の後に続く日常を見たい…です。
本当にいい作品でした。この時代に生まれてよかった、と思えるくらい、心が震える体験ができました。そして、川内先生や三瓶先生を見ていると、私も人として素敵な人になりたい、と自然と思ってしまいます。きっと、アンメットを通して、いろんな人がいろんなものを受け取ったのではないでしょうか。私はその一人です。
またいつか、川内先生や三瓶先生に会えますように。チームアンメットの皆さん、ありがとうございました。