舞台「憂国のモリアーティ」
生まれながらにして魂に「身分」という呪いを刻み込む、この忌まわしい世界を
犯罪で変える。
熱い想いを胸に秘めた、冷徹な"男達"が創り上げる、華麗なる完全犯罪の舞台。
さあ、今日も。
完全犯罪の舞台の観客となろう。
はじめに
俳優である荒牧慶彦さんを応援するファンによる、舞台「憂国のモリアーティ」の感想を綴る記事です。作品の内容に触れます。物語のネタバレなどにはご注意ください。
また、ファンの欲目を余すことなくぶつけて、いや、爆発させる勢いなので、どうぞ生温かい目でご覧ください。笑
"舞台版"憂国のモリアーティ
応援する俳優である荒牧慶彦さん(以下、「荒牧さん」)の出演情報が解禁になったのは、もう随分前の話だ。
ミュージカルがあっていることは知っていたし、友人からも面白い作品だということは聞いていた。
モリアーティとホームズ。何となくは聞いたことがある。しかし、知っていると言うにはあまりにも知識はなかった。
ただ、原作コミックの表紙に描かれた、その物語の主人公だと思われる男の表情を目にした時、どうしようもなく胸が高鳴った自分がいた。
「これはまた、すごいものが観られるかもしれない」
そんなざわついた気持ちが胸をなぞったのを、今でも覚えている。
実際にミュージカルを観劇していない為、両者を正確に比較することは出来ないのだが、耳にした情報を元に比較すると、舞台の方は「バックグラウンドを削ぎ落としてシンプルにまとめられた」内容だったように思えた。
それゆえ正直、原作を読んでいなければ私はイマイチ話が理解出来なかったであろうと思う。
しかし、どうやらそのあたりの詳細な話は既に、ミュージカルの方でされているようだった。
「同じ作品を形態を変えて上演する」ということは、先の作品を踏まえた上で演る、そういうことなのだろうか。
しかしながら、特別に何の使命を背負っているわけでもないのだが笑、"話の難民"が出ないよう、初見の後に「原作を読んだ方がいい」と声を大にして発信しておけばよかったなあ、と少し後悔している部分もある。(もっとも、余計なお世話という言葉が何ともぴったりな気持ちであるからして、むしろ実行しなくてよかったとも思う)
ミュージカルもきっと素晴らしいのだが、舞台もとても素敵な作品であったと思う。
両方をご覧になった方は、果たしてどんな感想を抱いたのだろうか。
荒牧慶彦という役者が演じるウィリアム
さて、個人的初日は公演日程の3日目に無事に迎えることができた。
「観劇中に物語を理解するという作業に時間を割く余裕はない」という、何とも荒牧さんのお芝居に前のめりすぎる理由で(少しでも彼の表現のひとつひとつに没頭したかった笑)、私にしては珍しく原作を読んだ。
もともと、原作を読んだその時点から「絶対に荒牧さんはとんでもなくウィリアムが似合うはずだ」と確信していたが、その予想は見事に的中した。
舞台上には、原作コミックのコマの中そのままのウィリアムがいた、と、私は思う。(かなりな欲目を余すことなくぶつけてしまって大変恐縮だが笑)
伏し目がちに少し顔を隠すような角度でひどく冷酷に笑う顔や、ニッコリと笑う顔、紅い瞳を見開いて相手を一蹴する表情、冷たい眼をした挑発的で余裕たっぷりな笑み。
原作を読んだことのある方は、この羅列を見ただけでも思い当たる一コマがあるのではないだろうか。
さらに表情だけでなく、彼は声の使い方もすごい。
小気味いい明るい声と黒い感情に満ちた低い声、この使い分けに加えて台詞の抑揚のエッセンスが加わる。
まとわりついてくるようなゆっくりさで憎悪や皮肉をたっぷりと込めたかと思えば、凛とした声で淡々と口にする言葉たち。
そんな表情と声、両者が合わさった表現を目の当たりにした時の、えも言われぬ高揚感を感じる瞬間を、ぜひとも多くの方に味わって欲しい…そんな気持ちでいっぱいだった。(熱量が込み込みすぎて申し訳ない)
彼のキャラクターの特徴を掴む力のすごさは重々承知していたのだが、今回は特に、その表情に原作の絵が重なることが多く、ハッと息をのむ場面も多かったように感じた。
今まで原作のある舞台作品でもあまり原作に触れることをしてこなかったのだが、今回味わった「"原作のキャラクターそのものだ"と思った時に感じる、どうしようもなく胸が高鳴る高揚感」は、今までの観劇で感じたどんな感情とも似つかないものであったように思う。
そして何より、そこまで自分の役を理解して表現できる役者さんの技量のすごさというものを、改めて知ることが出来た。
荒牧さんのお芝居が一層好きになった。
そんな感覚を感じられたことを純粋に幸せに思った。
ただ同時に、新年一発目の舞台からこんなに前のめりな気持ちで幸せが限界突破していいものだろうかと、酷く冷静な顔をチラつかせる自分も心のどこか隅の方にいたことは決して否めない。笑
とは言えど、これから先も彼は素敵なお芝居を魅せてくれるという謎の自信があるので、そんなことは杞憂でしかないのだが。(ドヤ)(お前がドヤるな)
ここまで読んでくださった方で
「そんなに言うなら観てみようじゃあないか!」
そう思ってくださった方がいらっしゃったら嬉しいなあと思う。
きっとそんな時が来た際は、ウィリアムも顔負けの私のしたり顔が止まらないだろう。笑
さて。内容の部分に触れるまでの前置きが長すぎて辟易してしまったのは重々承知だ。むしろ今まさにこの記事を書き進めている当の本人も、いっそ筆を投げてしまおうかと思っているほどである。(完結させろ)
長くなってきたので今回はここまでに。
どこまで続くかは、今の時点では未知の領域だ。
*ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました*
続き②
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