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民泊事業を始めたい⑥-自分のassetを最大限活かすための3つの感覚
弱者の戦略という観点では、自分の弱みを補うよりも、強みを活かす方策を練る方が良いのは分かる。では、人はどのような状態であれば自分のasset(資産)を活かし、強みを最大限に発揮することができるのか?
最近読んだ本で参考になるものがありましたので、今日はこの本での学びを踏まえて自分なりに考えた理論ー自己assetを最大限活かすためには内発的動機(ワクワク)が不可欠であり、内発的動機を持続するためには3つの感覚が必要、というテーマで記事を書いてみようと思います。
私の問題意識
今回木下斉さん主催の「ジブン株式会社ビジネススクール」で自分のキャリア開発の指針として提案されたのが、ABCD(Asset-Based "Career" Development)という思考法。弱点をまんべんなく補うために自分に無いものを得ようとするのではなく、既に持っている強みをさらに伸ばして唯一無二のポジションを築くという考え方と理解しており、これはその通りだと思います。
でも、当然ですが、そもそも意欲が無ければ自分のasset=強みは最大限に活かせないのでは?そんなことをふと感じました。強みを活かすにも「強みを活かして改善したい!」と思う意欲が必要。その意欲とは、誰かから言われて持つものではなく、自分の内側から湧き上がる、いわば「内発的動機」と言われるもの。この内発的動機の有無によって、強みを活かせる人とそうでない人が分かれるのではないか?そんな仮説が頭に思い浮かびました。
アドラー心理学の中核にある「共同体感覚」
上記の仮説について考察するうえで参考になった書籍が、私が最近図書館から借りて読んだこちらの本です。アドラー心理学の研究者である平本あきおさんと、日本の幸福学の先駆けである前野隆司さんの共著の本です。
アドラー心理学は、非常に大雑把に言うと「どうしたら人は幸せになれるのか?」を研究する学問で、私は素人レベルの知識ですが、人生の幸せ(well-being)を考えるうえでとても役に立つ考え方を提供してくれるものだと思っています。この本ではアドラー心理学の中核をなす哲学として「共同体感覚」(=仲間感)という考え方を紹介しています。人間の悩みは全て対人関係にある、すなわち良い対人関係が人の幸せの必要条件ということです。
共同体感覚を構成する3つの感覚
日本のアドラー研究者の先駆けである野田俊作氏の定義によると、この共同体感覚は次の3つの感覚により構成されると言います。それぞれの詳細は実際に本を読んでいただく方が良いと思うので、ここでは簡単に私の個人的な理解に基づく概要だけ紹介します。
①自己受容
自分の意見や価値観が相手に受容されている、理解されていると感じていること。逆を言えば、相手に自分の考え方を否定されていない、無視・軽視されていないと感じること。
②他者信頼
相手に心を開いている状態であり、心から信頼できること。相手に任せられる状態。
③貢献感
「私は誰かの役に立っている」と感じられること。私は価値ある存在だと感じられること。
これら3つの感度が高ければ高いほど、共同体感覚が満たされ、人は幸せに感じる、と言います。
この本はあくまで人の幸せの実現手段について考察するアドラー心理学を扱うものですが、私が常日頃からジブン株式会社運営上の重要要素として念頭に置いている自己の内発的動機(ワクワク)は、人の幸せ(well-being)と密接に関わるものだと思っています。つまり、内発的動機により行動していると、人は心から幸せを感じられ、かつ自己assetを最大限に発揮できる最高のパフォーマンスを実現できる状態になると理解しています。
より良い「夫婦株式会社」の実現のために
私がこれから始めようとしている民泊事業は、前の記事でも書いた通り私一人ではなく妻にも関与してもらう想定です。つまり、妻は私のビジネスパートナーになるということです。
その場合、当然、私一人が内発的動機を持っているだけではなく、妻も自分の内発的動機=ワクワクを感じながら事業運営に携わる状態が理想です。そのためには、まず私自身が自己受容・他者信頼・貢献感をベースとした共同体感覚を体現した行動を実践し、その姿を見せることが大事だと感じています。
民泊事業が具体化するにつれて、既に夫婦間で意見の相違が生じることも出てきました。例えば、最初の課題にして最も重要ともいえる物件選び。民泊可能な賃貸物件の供給は都内あっても決して多いとは言えず、私が調べられる限りでは数日に1-2件という程度です。そのため、多少妥協しないとそもそも物件を決められないという事態になりやすい状況です。そんな中、「これは比較的良い物件なんじゃないか?」と私が感じる築古戸建ての物件情報が出てきました。かなり古い建物ですが、その替わり賃料はリーズナブル。内見だけでもした方が良いのでは…?
しかし、妻に物件情報を見せて相談すると、答えは「No」。その理由を聞き、私は少し考えてから、内見せずにその物件を見送ることにしました。なぜなら、妻がその物件に対して全くワクワクしておらず、その物件で2人で民泊事業を成功に導ける将来像が全く描けなかったから。しかも私自身、民泊経営に関しては素人同然なので、私がどれだけ努力しても、その物件では妻の不安をワクワクに変えることはできないと感じました。仮に私が妻の反対を押し切ってその物件で民泊を始めても、その状況では妻自身の自己受容・他者信頼・貢献感はいずれもズタボロになることが目に見えています。
ということで物件探しは長丁場になる可能性がありますが、それは民泊を始めようと思い立った時点で元々覚悟していたこと。民泊初心者=弱者である我々にとって焦りは禁物と思っています。いつか自分たちのワクワクが感じられるポテンシャルを持つ物件を探し出せると信じて、行動を続けようと思います!