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鈴宮縁
2021年10月25日 01:59
夜が好きだ。 人目を気にすることなく、君の隣を歩くことができるから。 月明かり、瞬く星。「ねえ、ミライ。私ね、あなたのこと大好きよ」 君は珍しくそんなことを言う。 月明かりが照らすのは、少し赤くなった君の顔だった。「急になに?」「慣れないことするもんじゃないわね……照れるわ」 君は少しはにかみながら熱った顔をパタパタと仰ぐ。 君はいつもそうだ。 君はいつも、そうだった。「
2021年10月25日 01:57
そのとき、私はバラが綺麗に咲いているという公園にいた。実際、バラは綺麗に咲き誇っていた。私の目を奪い続けるには充分な美しさだったと思う。でも、すぐに私の目はバラから離れた。 バラ以上に美しい少女が、花壇の上に寝そべっていたのだ。その少女は、死んでいるんじゃないかと思うほどに青白く、細い指の先すらも動かなかった。その姿は、花よりも、星よりも、宝石よりも、この世のどんなものよりも、綺麗だった。私の