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ロマンとそろばんに頭を抱える教育事業の経営者

noteではお久しぶりです。UC Berkeley教育学部2年生で、一般社団法人52Hz理事の谷津凜勇です。

これは自慢話なのですが、実は、僕は今までに応募した奨学金や助成金、補助金、研究費などでは柳井財団以外すべてに採択されています。(法人化3ヶ月・自己資本200万円だった52Hzが三菱みらい育成財団に異例にも採択されたnote↓)

お金と人はロマンに集まる

こうした助成金に採択されるためには、もちろん「ロマン」が大切です。目指すビジョンを語り、より良い未来を作るためのロードマップを描くことで、僕の作る事業や僕という人間自身に投資をしてもらうのですから、ロマンに共感してもらい、将来の可能性を信じてもらわなければ始まりません

これは、何もお金のことに限りません。52Hzとしても、Acceleratorプログラムとしても、今までこれだけの熱量を持って広がり続けているのは、Ryogaや僕の打ち出したロマンに共感した人が集まり、みんなが本気でそれを実現するために模索しているからです。先日、Acceleratorを運営している海外大生メンターが集まってミーティングしていたのですが、なんと4時間も休憩もせずにプログラムの改善のために議論し続けていました。(僕のタイムマネジメント能力が未熟なのは反省点ですが、)こうしたメンバーの情熱に52Hzは支えられているんです。

そろばんで理想の教育を追究し続ける

けれども、52Hz理事として教育事業を経営する中で最近考えているのは「そろばん」です。

教育事業で大切なのは、「届けたい層に」「届けたい価値を」「届け続ける」ことです。Acceleratorは今年開校したばかりで、まだまだこのプログラムの本当の価値がどこにあって、それがどんな中高生に刺さっているのかを見極めている最中です。けれども4時間のミーティングを経て一つだけわかったのは、これはすぐに答えが出る問題ではないし、これからもずっと追究し続けなければいけない、すなわち「届け続ける」必要があるということ。

とあるご縁で株式会社リクルートでスタディサプリを立ち上げた池田さんとお話しさせていただいた際、こんなことをおっしゃっていたのが印象に残っています。

教育サービスで大事なのは、サステナブルであることだから、NPOとしてやっていくのは厳しい。10年やればデータと利益が溜まっていくのに、無料で提供すると投資できないのでクオリティが上がっていかない。それでは本質的な教育にはなりえない。

すなわち、事業として成長しない中でクオリティを上げようとしても限界があり、むしろ成長するからこそ投資できて、事業が洗練されていくのです。

僕は、これは特に「教育」という特殊な領域だからこそ、大事な視点だと思っています。というのも、教育はすぐに目にみえる成果が出るものではないため。高校時代に取り組んでいた読書教育でも「読書がどう将来に活きるのかを可視化できないこと」に悩み、いまだに答えを出せずにいます。人間の自己形成・自己実現は、10年20年と長いスパンで見て初めて意味を持ちますし、それが定量的に評価できるわけでもありません。つまり、今いくら自分たちがその価値を信じて実践していても、本当にその価値があったのか分かるまでには長い年月が必要。となると、数年間だけプログラムをやってみて、「効果が分からないし、助成期間も終わるのでやめます」といった経営判断をしてしまうのは、とても無責任なことに思えます。

やはり、自分たちが「これは今の子どもたちのために、そして未来の社会のために必要だ」と信じているなら、どうにかしてその事業を持続的に成長させるスキームを考える必要があるのです。けれども、成果が短期的には目に見えにくい教育事業だからこそ、気をつけたいのが、本質的な価値を見失ってしまうこと。

ロマンとそろばんの両立

にゃんこ先生のこのツイートはわかりやすいですが、とにかくお金を集めることに執着してしまうと、教育的価値=質を高めることよりも、 「最先端のメソッドを採用」「難関大学合格への最短ルート」など聞こえのよい言葉を打ち出しつつ、「みんなもう始めてます」「今からやらないと間に合いません」と生徒や親の不安を煽って、受講料を集めて儲ける、という不健全な解に辿り着いてしまいます。

けれども、僕は絶対にそんなことはしたくない。これは52Hzの価値を僕が心の底から信じているし、僕の他にも52Hzの価値を信じているメンバーが500人以上Discordに集まっているからです。

そこで、本質から目を逸らさないために大事なのが「ロマン」です。先日のミーティングでは、「今年・来年はAcceleratorのコアな価値を確立することに集中しよう」という意思決定をしました。Acceleratorと52Hzを通じて実現したいロマンとしての教育の価値や社会のあり方を見極め、それを、届けたい人に届け続けるための持続的なモデルをそろばんで模索する。これがこれからの経営者としての僕のミッションです。難しいチャレンジだからこそ、少しずつ52Hzならではの最適解に近いていけることに、今からワクワクしています。

編集後記
先日のミーティングでは、Acceleratorの募集開始から約半年経つ中で見つかった課題を洗い出し、それぞれに対する解決策を議論していましたが、話せば話すほど、プログラム開始前の想定が甘かったこと、ターゲットや価値の解像度が低すぎたことを思い知らされました。おかげで、冬休みに深掘らなければいけない論点が20個以上出てきて、頭を抱えています。時間が足りなさすぎる……1日が48時間にならないかな〜🤪


お知らせ

52Hz Acceleratorは、三菱みらい育成財団の助成を受けて来年度以降も毎年開校します。
次年度1期生の募集は2025年4月〜5月頃を予定しています。

プログラムの概要はこちら:

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