私の歴史~~武術に憑りつかれた男33
私は毎日ひたすら自分の指を糸で天井につるして、その糸をだれかにハサミでプツンと切ってもらい、腕を落とし続けた。
いや、実際の話ではなく、あくまでもイメージで。
その甲斐あって、腕は太ももにあたる音も大きくなり、脱力感も増してきた。
あとは、暇さえあれば定歩崩拳と馬歩穿掌を繰り返した。
この時は、技がどうとかではなく、足腰をひたすら強くしなければならないと思っていた。
だんだん太ももも太くなり、回数も少しづつ増やして、長くできるようになった。
次の日曜日。
いつものとおり10時ごろ西忍寺到着。
お寺の駐車場の大きな黒いランドクルーザーが停まっていた。
お御堂では先生が一人の青年と話をしていた。
色の浅黒い真面目そうな風貌。
やせ型で背丈は180センチくらい。
年齢は20歳くらい。私と同い年くらい。
さわやかな笑顔で話しをしていた。
ここから先は
1,820字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?