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武術的老子解説

原文

上士、道を聞きて、勤めてこれを行う。
中士、道を聞きて、存するがごとし亡くするがごとし。
下士、道を聞きて、これを大笑いする。
道を以って為すに笑わざれば不足なり。
ゆえに建言、これに有り。
明らかな道は昧きがごとし。
道を進むは退くがごとし。
夷道は類するがごとし。
上徳は谷のごとし。
大いなる白は、辱きがごとし。
広い徳は、不足のごとし。
徳を建てるは、かりそめのごとし。
真なる質は、かわるがごとし。
大いいなる方は、隅無し。
大いなる器は、晩成す。
大いなる音は、声少なし。
大いなる象は、形無し。
道、隠れて無名なり。
それただ道、善く貸し、かつ成す。

解釈

真の立派な人物は、道のことを聞くと、勤めてそれに従う。
まあまあの人物は、道のことを聞くと、そんなこともあるのかなあと思うだけ。
取るに足らない人物は、道のことを聞くと、大笑いする。
道のことを聞いて、笑われるくらいでなければ、真の道ではない。
ゆえに昔からこう言われている。
明らかな道は、暗く曖昧に見える。
この道を進む者は、退いて見える。
未開の道を歩いているように見える。
上徳は、深い谷のようだ。
大いなる真実は、汚れて見える。
広い徳は、物足りなく見える。
徳が現れるのは、その場限りに見える。
本当のことは変化していくように見える。
大いなる場所は隅が見えない。
大いなる器は、いつまでも完成しない。
大いなる音は、小さくしか聞こえない。
大いなる象は、目に見えない。

道は姿が見えず、名前もない。
道はただ万物に働き、ひたすらものごとを成し遂げていく。

コメント

武術の全貌は他分野にわたる。
殺人技術、哲学、芸術、運動学、伝統、心理学、宗教などなど。
少し武術を習った程度の者は、こんなもの役に立たない骨董品だと言う。
格闘技よりも弱いへなちょこだと言う。
しかし、武術はあまりにも巨大な体系なので、そう見えるだけだ。
部分的に知っても全体が見えなくなるだけだ。




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