別れ
彼女の家に住むようになって何年だろうか。
ぼくはあまり彼女と一緒に寝なかった。
食事も、彼女がいない時にこっそり食べた。
スキンシップも少なかったから、彼女は寂しかったかもしれない。
でも今日は彼女の寝ている横へそっと潜り込んでみた。
彼女はびっくりしていたけど、嬉しそうにしてくれて、
こんな気まぐれなぼくをたくさんなでてくれた。
苦手って思ってたけど、案外いいもんだ。
ぼくは彼女の暖かな腕の中で眠りについた。
朝、まだ寝ている彼女に見つからないように、そっと家の外へ抜け出す。
ぼくは猫だ。
今日、彼女のもとを離れ、遠いところで眠りにつく。
ありがとう。
さよなら。
君といて楽しかった。