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未来はバカにされているところからはじまる

これから勃興するもののの特徴として、『バカにされている』というのがあるんじゃないですかね。

例えば中国統一を果たした『秦』は、西の果ての辺境の国です。当時は蛮族とみなされていました。文化的にも遅れていて、中央の国からもバカにされていたんですね。

ところが結果、そんな秦をバカにしていた中央の国は滅び、秦が中国を統一してしまいました。

日本でも明治維新の立役者となった薩摩・長州も辺境の国です。中央の京都からは低く見られていたんですが、彼らが武士の時代を終わらせ、新時代を築きました。秦と同じです。

エンタメの世界でもそうで、漫画やアニメは子供が楽しむものという見方をされていました。サブカルチャーと呼ばれ、「ケッ、おまえはメインじゃないよ。だからサブの焼印を額に押してやるぜ」と格下扱いをされていたわけです。ところが今やそれが、日本を象徴するメインカルチャーになりました。

映画『浅草キッド』でも幻の浅草芸人と呼ばれて深見千三郎さんは、「漫才なんてだめだ」と当時人気が出てきた漫才を低く見ていました。

しかしお笑いの世界では、漫才は現状メインの芸となっています。

最近のわかりやすい例でいえば、YouTubeがそうですよね。

テレビの世界の人間は、当初YouTubeをバカにしてましたよね。5〜10年前ぐらいのテレビに出ているる芸人さんは、「おまえ、ユーチューバーか」みたいなYouTubeをバカにする発言をよくしていた記憶があります。

ところがYouTubeやユーチューバーの影響力が一気に加速し、カジサックさんやオリエンタルラジオの中田さんが本格的にYouTubeに参加すると流れは一変しました。

そのテレビで活躍していた芸人さんやディレクターが、「ひゃっほい。これからはYouTubeだ」となだれ込みましたよね。

1970年代の芸人さんはテレビをバカにし、2010年代の芸人さんはYouTubeをバカにしていました。でもそのバカにしていたものが見事に次のムーブメントを作り出しています。

次はユーチューバーが新しく出てきた何かをバカにしたら、それが次のメインを担う存在になるでしょう。

時代はくり返すではないですが、既存勢力は自分たちの脅威となるものを最初はバカにするんです。人間の生存本能かもしれませんね。

だから新しいものを見て、「なんだ、こんなもん」みたいな感じでバカにしてしまうと危険信号なんですよね。

言葉とは裏腹に生存意識が反応している。次の世代に食われる位置に自分がいるっていうことです

バカにしかけたらその言葉をぐっと呑み込み、とりあえず自分がやってみる。

生き残るために新興勢力に鞍替えするのは立派な戦略です。

ストーリーとしては新撰組などの滅びる側に美学を感じやすいのですが、結果勝利したのは薩長です。

こういう新しいものを貪欲に取り入れる習慣を身につけたら、どんな時代でも生き残っていける人になるんじゃないでしょうか。

今僕が注目しているのが、『ウェブトゥーン』です。

いわゆる縦読みマンガですね。韓国発祥でじわじわと広まり、現在webマンガの一ジャンルを形成する勢いです。

普通の漫画ってコマ割りがあって右から左、上から下へと読んでいくものじゃないですか。

でもウェブトゥーンはスマホに特化していて、上から下へとスクロールして読んでいくものです。

日本は漫画大国なので、「ウェブトゥーンなんて」とバカにする人も多いんですが、かなり面白いものもたくさんあります。僕は好きでよく読みます。

そして世界を見れば、このウェブトゥーン方式が主流をしめつつあります。

というのも日本の漫画って、慣れてない人からするとかなり読みにくいものなんですよね。

僕ら日本人は漫画というものが身近にあるので、簡単に読むことができます。ですが漫画を見たことがないという人からすると、面白いと思う以前に、まずどう読んでいいのかがわからないんです。

漫画未経験者にポンとなんの説明もなく漫画を渡しても、読むことはできないんじゃないでしょうか。

でもウェブトゥーンは、説明なしでもすっと読むことができます。だって上から下へとスクロールするだけなんですから。直感でわかるんです。

つまりスポーツで例えると、理解すべきルールが漫画よりウェブトゥーンの方が簡略化されているということです。

サッカーと野球を比べてみます。野球って日本やアメリカでは人気のあるスポーツですけど、世界的に人気というわけではありません。

一方サッカーは、世界で人気のスポーツです。ファンの人口は圧倒的にサッカーの方が勝っています。この違いはルールのわかりやすさです。

野球とサッカーを比較すると、サッカーの方がルールが簡単です。やっぱりルールが簡素だと世界に広まりやすい。

さらにウェブトゥーンのデバイスであるスマホは、世界中で40億人が持っているので、40億人にリーチできます。

スマホはデバイスとして究極の答えの一つと言われています。スマホに変わるデバイスが、さすがに今後すぐには出てこないでしょう。

そしてウェブトゥーンはスマホに特化した漫画です。

もちろん漫画はこれからも残り続けるし、面白い作品もどんどん出てくるでしょうが、対世界という観点で見ると、ウェブトゥーンは強いでしょうね。

現在バカにされているものに着目すると、それが次世代の主流になるかもしれません。



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浜口倫太郎 作家
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