売れている芸人の共通点
ジャルジャルというお笑いコンビがいます。コント師ナンバーワンを決めるキングオブコントの王者ですね。
ジャルジャルのYouTubeも大人気で、オンラインサロンも好評です。テレビレギュラーはなくとも、かなり稼いでいるみたいですね。
コロナ前ぐらいで一度会ったとき、YouTubeという自分たちに最適なものが見つかって本当に良かったです、と福徳は嬉しそうに言っていました。あの笑顔は印象に残っています。
ジャルジャルってほんとネタだけやりたいコンビですからね。そういう意味でもYouTubeという媒体は、ジャルジャルのために作られたようなものです。
ジャルジャルはほんとはじめてみたとき度肝を抜かれたコンビですね。
base劇場という関西の若手芸人が活動する場所で、はじめてジャルジャルをみました。
二人とも裸ででてきて、舞台に寝転がり、太ももとふくらはぎを使って音を奏でるというネタをやっていました。
正直「なんだ、これ……」と思ったんですが、妙に気になってずっと見てしまったんです。
どんなものでも「なんだ、これって……」ってすごい大事なんです。それって常識外のものなので、現時点では受け入れられないんです。でも未来ではそれがブレイクする可能性を秘めている。
それからジャルジャルのネタにはまり、「こいつら天才だ」と思うようになりました。
なんというかもうこれまでのお笑いの文脈から外れまくっているのに、とにかく面白いんです。
ジャルジャルのネタはプロほど驚くんですよね。あれだけ斬新なネタを、信じられないほど量産できるんです。
どうやってネタを作っているのか気になって仕方ありませんでした。分析できないんですよ。
そこで僕が担当していた新番組で、ジャルジャルにレギュラーをやってもらうことになりました。
それで番組の合間にちょっと福徳と話すようになったんですが、やっぱり普通の若手芸人と違うなと感じていました。
ジャルジャルがちょうど大阪で人気が出はじめた頃ですね。福徳と世間話をしていると、彼がまだ実家に住んでいることがわかったんです。
芸人になってからずっと実家ぐらしとのことでした。
まあ売れていない頃はわかりますよ。実家にいると生活費が必要ないですからね。
芸人は最初の頃は売れていないと、バイトで生活費を稼がないとダメです。でもそこに時間を取られると、ネタ作りの時間がなくなってしまう。
バイトをするために芸人になったのかという本末転倒の状態になってしまうんですね。
売れるためにはお金と時間をうまくやりくりしないとだめなんです。
実家が地方だと不可能ですが、実家が大阪とか近郊にあるのならば、極力実家暮らしの方がいいんですよね。
ただその頃のジャルジャルぐらい売れていたら、十分大阪で一人暮らしできるほどの稼ぎは得ています。
距離のある実家から通うよりもメリットは大きい。そこで「もう一人暮らししたら」と言ったら、
「どうせすぐに東京進出するんでいいです。引越し代がもったいないですから」
そう福徳が答えたんですね。
もう東京を見据えているのかと驚きました。当時は大阪芸人が東京に進出するのって、なかなかハードルが高かったんです。
福徳もそうなんですが、いずれ売れていく芸人さんの特徴として、「目標が高い」というのがあります。
もちろん最初はみんな目標は高いですよ。「ダウンタウンを超えてやる」と鼻っ柱の高い生意気な若者が、お笑いという門を叩くんです。
ですがそこで自分の実力をまざまざと思い知らされ、大半の人間は芸人を辞めていきます。
お笑いって結果が如実に出るんです。目の前の客が笑うか笑わないか。わかりやすくもあり、非常に残酷な世界です。
そこでスベりまくると、自信がどんどんなくなります。次第に目標が、「とにかくバイト暮らしから抜け出したい」となります。
ダウンタウンを超えるといっていたのに、途端に夢がしぼんでしまうんですね。
でも後々売れた芸人さんって、売れてない頃からでも目標が高いんですよね。見据えている目線が違う。
ジャルジャルは結構初期段階からウケていましたが、今は売れっ子芸人でも、最初はウケるコンビばかりじゃないです。
でもいくら売れていなくてもそこで目線を下ろさない。
どれだけ過酷な現実や数字が自分の頭をおさえつけてこようとしても、決して顔を下げない。
それが売れている芸人さんの特徴かなと思います。
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