活動システムマップで新規事業3:企業活動から導く新規事業領域
前回の記事では自社の優位性を分析するフレームワーク「活動システムマップ」を使い、優位性をもたらす活動をセットで切り出すことで新規事業を行う上での強みとして抽出するという手法をご紹介いたしました。
今回はその抽出した強みを使って検討すべき事業領域を考えていきたいと思います。
強みから顧客ニーズを探索する
強みから顧客ニーズを発想する方法ですが、強みを活かす市場を直接的に発想するのではなく、「強みのもたらす効用を考える」という、自社目線で発想されている強みを、果たして顧客にとってどういう価値やメリットがあるのか?という顧客目線で考えるというステップをワンクッション挟むことで顧客ニーズを考え易くします。
1.強みの効用を考える
強みを顧客の目線から考えるとどういった価値があるか?
青山フラワーマーケットの例で具体的に考えてみます。
「自律的な店舗運営が可能な仕組みを構築できる」という強みを顧客の目線から考えると立地や顧客による個別対応をきめ細かくしてもらえるという効用に変えることができました。
同じように「低単価商品の小売を繁華街で成立させられる」という強みはアクセスのよい場所で低価格なものを手に入れるものができる、「顧客の時間と空間を劇的に変えることができる」という強みは使用した上での効果効能を想像し、理解した上で購入することができるという顧客目線から見たメリットに言い換えることができます。
2.顧客のニーズを考える
効用が満たすことのできる顧客のニーズを考える
次のステップでは効用が満たすことのできるニーズは何か?を具体的に考えていきます。
まず、効用と市場を掛け合わせてニーズを発想します。この時掛け合わせる市場は自社の領域に限らなくて構いません。
具体的に発想してみます。「立地や顧客により個別対応をきめ細かくしてもらえる」という効用に対して飲食・宿泊・フィットネスなどをかけわせてみると、飲食であれば「立地にあわせてメニューを調整する飲食店」というニーズが出てきました(実際、青山フラワーマーケットを運営する株式会社パーク・コーポレーションは紅茶を中心とした飲食店も展開しています)
宿泊であれば「顧客にあわせて現場判断で柔軟な対応するチェーンホテル」、フィットネスであれば「顧客にあわせてトレーニングメニューを調整するフィットネスジム」という顧客ニーズを満たすことができるという発想ができました。
同じように他の強みも発想してみると上記のように強みを発揮できる市場の候補と顧客ニーズが複数発想することができました。
3.市場を評価する
顧客ニーズと市場をグルーピングする
出てきたアイデアをそのまま進めることも可能ですが、この段階で出てきた市場と顧客ニーズを市場ごとにグルーピングし、市場ごとに評価を行い、新規事業戦略の対象市場を決めていきます。
ここである程度市場を絞り、自社が強みを活かせる市場を特定して改めて、顧客課題を探る活動をしていくことで、自社のやる意義を担保できた事業構想フェーズに入ることが可能になるのではないでしょうか。
3回にわたって自社の優位性をもたらす活動を可視化する、活動システムマップを活用する手法をご紹介させていただきました。これまでの技術や経営資源に基づく強みからは見出せなかった新たな新規事業の機会を探索することが可能になるかもしれません。新規事業のアイデアを考える際にお困りであれば、この手法を活用してみてください。