私の23年と子供との13年
27歳。社会人から再び学生になって2年目の夏。寝転びながら勉強してて、何か胸が痛いな!と思ったトコから始まった違和感は、結局の所乳頭から血が出てるやん!という事態に発展し、検査の末に実習期間中に乳癌がわかり入院し手術することになった。
その日程が、乳腺外科医と形成外科医と調整が必要となった為、残りの実習が受けられなくなる事に。そして結果として、私は国家試験までに卒業試験を受けることがかなわず留年することになった。
病気になっても片方のおっぱいが無くなると聞いても泣かなかったけれど、留年することが確定したときに泣いた。手術後患部からの排出液を出すためのドレーンをぶら下げながら、携帯電話を握りしめて、夜の病院のロビーでポタポタ涙を流した。悔しかったなぁ。
当時私の病気について知っていたのは数人の友達のみだったので、専門学校のクラスメイトには実習が終わった年末に打ち明けた。実は長期実習の後半が履修できなかったこと。卒業試験を受け、国家試験の勉強をしているタイミングで自分だけ遅れて実習に行くこと。一緒には卒業できないこと。さすがに皆に病気のくわしいことは話せなかったけど、理由も聞かず、飲みにいこ!と誘ってくれて、実習に行く前には寄せ書きをもらった。ありがたかった。病気になったことも、皆に話したいことも山程あったけど、その時は言えなかった。
その後皆より1年遅れて卒業し、国家試験も無事にパスして病院で働き出した私。
病気の後に知り合った人と31歳に結婚。ホルモン受容性+タイプの乳癌だった私に、不妊治療はリスクを伴う選択だっただろうが、術後ホルモン治療(女性ホルモンがでないようにする薬を飲んでいた)を受けていたので、そのままでは妊娠することが出来ない為、主治医からのOKをもらいホルモン治療を早めに終了。34歳の時に不妊治療を選択して、治療の末に三つ子を妊娠した。
3人の妊娠は嬉しい出来事なはずなのに、沢山の出産リスクを聞かされ、不妊治療の主治医も三つ子出産はすすめない。と言われてしまう。悩みながら夫と相談し、3人を産める病院を探して、出産することを決めた。
泣きながら3人を産むといったあの時。私は人生で一番大事な選択をしたと今でも思っている。その側で心配して思ってくれていた両親や離れていた夫の両親、親戚、友達。その時に直接言われた事はないけれど、祈る思いだったらしい。自分の思いを支えてくれる人たちがいたから今があるんだよなー。
私に妊娠していいよ!と言ってくれた乳癌の主治医はその後若くして亡くなってしまった。私の出産を楽しみにしてくれていた病気仲間は3人がお腹にいるときに空に召された。大好きなミュージシャン、川村かおりまでも。
3人が無事に産まれた後、乳癌検診に行くと、亡くなった主治医のかわりにみてくれた先生は、S先生に報告したかったですね。先生はあなた1人の命を救っただけではなかったんですね。ホントに嬉しいニュースですね。
と喜んで下さり、涙があふれた。
3人娘はスクスク育ってくれたが、片方しかないおっぱいとミルクの子育て。
休む間のない育児。疲れ切って、つらくて涙がとまらない。なんどもそんな夜があったっけ。その度に、3人を産もう!と決断した時の気持ち。私を応援してくれた主治医や仲間の言葉を思い出す。
一日3時間置きに授乳する8回✕3人分の24回。オムツも24回変える(濡れてなかったら変えないけど)。沐浴をする✕3人。洗濯と買い物、掃除。大きくなれば、3人連れて公園に行く。買い物に行く。病院に行く。離乳食を食べさせる。トイレトレーニング。。。その度に自分の手は2本しかなく自分は1人しかいない事実に直面しては、工夫して段取りして乗り切った。旦那、両親、すれ違いの誰かさんにも助けてもらった。そしていつの間にか、子供達は大きくなっていった。
あれから13年。子供は13歳になった。私は50歳になった。産んでくれて育ててくれてありがとう。という娘からのメッセージをみて思う。
沢山泣いたけど、嬉し涙も、悔し涙も沢山流したけど、怒って、笑って、どたばたと過ごしてきたトキが、本当にかけがえがない時間だと思う。今も色々あるけどねー。
3人を産む。その決断から13年。私はまた新しい出発をしようとしている。
お母さん。夢を叶えてね。と言ってくれる娘達。母は飛び出すよ!
それこそ30年越しの夢に向かうために。
出会いは偶然でなく必然。病気だって、だからこそ出会えた友達がいたり、まわり道したからこその景色がみえたり。出産も育児も、何度もつまづいてそれでも、そこでしてきた色んな選択が今を作っている。そして陰ながら応援して支えてくれた人がいる。
次に向かう私の選択が新しい楽しい未来をつれてくるはず!
3人の子ども達。それぞれの道。あなた達の夢も叶えるんだよー!!!
沢山の人に出会って、もがき、考え、選択することが人生を作ってく。
応援して、時に厳しいことを言ってくれる人がいる
楽しみだよね
これからが!
選ぶ道があなたの道
選んだ道が私の道
出会えた人が財産
強く思えば
何かが開ける
強く願えば
何かが変わる
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?