【連続note小説】日向食堂 小日向真司58歳
こんな日が本当にあるのだろうか。
日も暮れて日向食堂のお客さんが、稲本と吉田、岡崎と長友、そしてシーズンオフでふらっとやってきた本田だけになった。
「真司、店閉めろ、飲もう」
稲本の号令と共に、5人は日向食堂のビールを飲み始めた。
真司は肴を作ってはせっせとテーブルに運んだ。
やはり稲本の独演会状態になった。
「稲本ぉ、おまえばっかりしゃべってるじゃないか」
「すまん、すまん」
真司に嗜められて、稲本が話を回し始めた。
本田のプロ野球の裏話は面白かったが、あまり多くは話してくれなかった。
吉田は今でも自宅にキッチンスタジオを作って、料理の研究をしているらしい。
岡崎は相変わらずサラリーマン生活で苦労しているらしく、本田のことが羨ましいとぼやいていた。
長友は就職したら会社を辞めて個人で事業を始めたらしい。
真司の影響が少なからずあったみたいだ。
稲本は相変わらず不動産で儲けているらしく、あちこちと支店を出しているらしい。
皆、立場が違い、それぞれに違う道を歩んでいる。
そんな多種多様な人間たちが、日向食堂という小さな定食屋に集まって来るのだから、世の中はやはり面白い。
<続く…>
<前回のお話はこちら>
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小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。