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【連続note小説】日向食堂 小日向真司34歳

ある日の真司とあおいの会話だった。
「真司君はまだお母さんが亡くなったのは自分のせいだと思っているの」
「なんだよ、藪から棒に」
「自分が高校に行って、歳之君が卒業する前に結婚しちゃって、お母さんに楽させてあげられなかったって、まだ悔やんでるの」
「そんなこと思ってないよ」
「まぁ、嘘ついても私にお見通しだけどね。
なんか私たち結婚したの早かったかな」
「だから、思ってないって」
「お母さん言ってたよ。真司君はお母さんのことで必ず自分を責めるから、楽にしてやってって。
お母さんが死に際まで心配してたよ。
なのに当の本人がいつまでも引きずって。
そんなんじゃ、お母さん喜ばないよ。
真司君の心に刺さってる大きなトゲ、もうそろそろ抜きなさい」
「そんなもん、刺さってないよ」
「いや、まだ抜けてない」
「何で?」
「いつまで年中無休で働くつもり?
それってお母さんに対する罪滅ぼし?
ちゃんとお店の定休日を作って、一週間に一日は休んでください」

真司は絶句した。
何もかもが無我夢中で、あおいに言われるまでそんなことも気が付いていなかった。
しばらく考え込んで真司は返事をした。

「はいはい、わかりました」


▼関連エピソードはこちら


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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