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【連続note小説】日向食堂 小日向真司57歳

岡崎と長友は就職してからも毎週のように、日向食堂に顔を出してくれた。

真司:「どうだい、仕事の方は」
長友:「いや、学生のときみたいにお気楽にはいかないですよ」
岡崎:「責任ってやつが、なんか重たくて」
二人は社会人になってビールを注文するようになっていた。

岡崎:「仕事を任せてもらえるのはありがたいんですが、しくじるリスクが怖くて」
長友:「新入社員の時は与えられた仕事を訳も分からずやったんですよ。なんかその方が、気が楽だったなあ」

岡崎:「社会人として成長しなきゃいけないってのは、わかっているんですけどね。どうも気持ちが付いてこなくて」
長友:「本当だな、なんかモチベーションが沸かないなあ」

真司:「そうかい。おれはずっと一人だったから、上司とか同僚って知らないんだ。何もかも一人でやらなくちゃいけなかったからねぇ。生きるか死ぬかだったよ。家族がいなかったら、とうに死んでただろうな。
君たちみたいに仲間と文句を言いながらでも、助け合いながら働いてみたかったよ。
まあ、おれにしてみたら、ちゃんと会社勤めできるんだから羨ましいことだよ」

岡崎・長友:「生意気なことを言って、どうもすみませんでした」


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

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<続く…>

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