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【ショートエッセイ】大切なみかんの木が突然枯れた

20年前に親父が庭に植えたみかんの木。
今ではぼくの身長をはるかに超えて、3メートル程の高さになっている。

毎年、冬にみかんを収穫して、家族の皆で食べたり、近所の方に配ったり、息子が大学生だった頃は学校に持って行って友達に配っていた。
20年に渡って、ぼくたちにみかんを供給し続けてくれていた。

そのみかんの木が突然枯れた。

一体何が起きたのか?
全くわからない。
葉は全て茶色に変色して、パリパリに乾いてしまっている。
まるでミイラみたいだ。

ぼくは痛々しい姿になった木を茫然と眺めていた。
すると何やら枝にへばりついて、もぞもぞと動く怪しい物体を見つけた。

カミキリムシだ。

子供の頃、捕まえて飼っていたことがある。
カブトムシやクワガタムシほどの価値観はなかった。
それでも捕まえて家に持って帰ろうと思う昆虫の一種だった。

なぜ小さなみかんの木にいるのか?

インターネットや植栽に詳しい知人に連絡を取って、いろいろと調べてみたら。
そいつはゴマダラカミキリムシと言う外来種で、日本中で悪行を働いているらしい。

柑橘系の木を好んで、幹の中に卵を産み付け、孵化した幼虫が木を食い荒らす。

我が家の庭にひっそりと幸せを振りまいてくれていた木が、とんでもないやつのターゲットにされてしまった。

知人が言うには、かなり重傷らしい。
知人はもう撤去した方がいいと言う。

しかし雑草を刈るように、簡単に切り倒す訳にはいかない。
今まで受けてきた恩恵は必ず返す。

駆除の準備は着々と進めている。
必ず救ってみせる。

小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。