【連続note小説】日向食堂 小日向真司65歳
「オヤジさん、おれ少年野球の監督をすることになったんだ。
店の中に募集用の張り紙を張っていいかな」
晩御飯を食べに来た本田が真司に言った。
「いいけど、おまえみたいな一流の元プロ野球選手がなんで少年野球なんだ。
プロ野球のコーチで雇ってもらえないのか。
それに解説とかリポーターとか・・・」
「誘いはあったんですがね、断りました」
「えっ、何で?」
吾郎が思わず口を挟んだ。
「オヤジさんにメシを食わしてもらってなかったら、今のおれはなかったですからね。
おれみたいな子供ってたくさんいると思うんですよ。
そんな子を発掘して育ててやりたいんです。
オヤジさんがおれにしてくれたことを、そんな子供たちにもやってやりたいんですよ」
「それは嬉しいが、そんなに恩に感じなくていいんだぞ。
おれは自分がやりたくてやっただけのことなんだから」
「おれも自分がやりたいことを、やりたいようにやっていきます。
素質があるのに、家庭環境に恵まれないだけで埋もれさせてしまうなんてもったいない。
オヤジさんにもらった御恩を、そんな子供らに分けてやるだけのことですよ」
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<続く…>
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