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35年ぶりの同窓会 〜誰かわからない〜

高校を卒業して35年ぶりに同窓会が行われることになった。

35年だ。

当たり前のことだが、ぼくらが高校を卒業した年に生まれた赤ん坊が、早35歳になっていると言うことだ。

ぼくらは男子校に通っていたから、参加者は全員男性。

花なんて全くない。

18歳の青年だった友が、全員立派はおじさんに変身していた。

お腹は出ているし、髪の手のない友もいた。

誰かわからなくて、名前を確認した友もいた。

変わっていたのは風貌だけではない。

人格が別人になっている。

その別人格変貌率がやたらと高かった。

変貌の傾向はほぼ同じで、35年前はおとなしい、もしくは口数が少なかったのに、お酒が入るとやたらとよくしゃべる。

それに品がなく騒ぎだす。

服を脱ぎ出す友もいた。

いわゆる立派な酔っ払いのおじさんだ。

人格に対する記憶は、35年前でストップしている。

高校生の時は宴会なんてなかったし、真面目な青年として付き合っていたから、酔って騒ぐ姿にギャップを感じて仕方がない。

35年の間にいろんなことがあったんだろうなぁ。

話を聞けば、転職を繰り返して定職を持たない友、病気で死にかけた友、罪を犯して刑務所にいた友、担任の先生に至ってはご自宅が火事になって焼け出されたらしい。

そんなことがあったなら、青年のままでなんていられるはずがない。

みんな、よく生きて集まって来てくれた。

ありがとう。

そう言えば、不良になって登校拒否になっていたのに、かっこいいスーツを着て立派なサラリーマンスタイルの友が一人いた。

逆パターンが一人だけいた。


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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。