【連続note小説】日向食堂 小日向真司17歳
真司が夕刊の配達を終えて、家路を急いでいた。
その途中の公園で、一人の男が数人の男から暴行されていた。
真司はやられている男の顔を垣間見た。
忘れもしないあの男の顔、真司の小学校生活を台無しにしたあの男。
稲本武敏だった。
数年ぶりの再会だったが、この男のことは忘れようにも忘れられない。
「おれには関わりない」
真司はそのまま通り過ぎようとした。
しかし気が付けば引き返していた。
真司に加勢してもらった稲本は立ち上がり、二人で不良たちと戦った。
やがて警官が駆けつけてきたので、その場にいた全員は散らばって逃げて行った。
真司も稲本も全速力で逃げた。
「なんで俺を助けた」
「別に」
「おまえ、おれのこと恨んでるんだろ」
「逆に聞くが、何も抵抗しない、おまえに何の害を与えない人を痛めつけて何が嬉しかったんだ」
「わからねぇ、気が付いたら、いじめてた」
「やられた方の痛みがわかるようになれ、そしてちゃんと自分と向き合え」
稲本は返す言葉がなかった。
真司はそう言うとそこから立ち去って行った。
<続く…>
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