【連続note小説】日向食堂 小日向真司62歳
このころには幸次も結婚して家庭を持っていた。
優子は子供を授かり、真司とあおいはおじいさんとおばあさんになっていた。
真司は孫たちに会いたいが、自分から会いたいとなかなか言えない。
あおいはそれがわかっていたが、子供たちに気を遣わせないように、あえて黙っていた。
真司は思案した。
どうやったら孫に会わせてもらえるかと・・・。
ある日のこと、真司は孫に日向食堂の料理人の一日体験を企画した。
その企画は日向食堂の閉店日に行われた。
優子に連れられた六歳の由紀と四歳の裕也が店にやってきた。
孫たちはだし巻き卵を作ることになった。
卵を割ってボウルの中でかき混ぜる。
真司は手取り足取り教えてやった。
孫たちは初めての料理に興味津々だ。
火を扱うことは真司がやった。
真司のテクニックを見て、孫たちのテンションは最高潮だ。
「お待たせしました-」
孫たちはそれぞれの皿に載せただし巻き卵を、お客さんに扮したあおいと優子に差し出した。
孫たちの可愛い姿に真司の頬は緩みっぱなしだ。
「おじさんのがないでちゅよー」
いつの間にか稲本が満面の笑みを浮かべて座っていた。
「何でおまえがいるんだぁ」
<続く…>
<前回のお話はこちら>
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