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単身赴任をするなら自ら料理を作ろう

40歳を過ぎて単身赴任をしたことがあった。
料理に全く縁がなかったぼくは、毎晩お惣菜を買ってきて食べていた。

毎日妻の手料理を食べていたぼくにとって、スーパーのお惣菜はあまりに辛かった。

そこで一念発起して、自分で料理を作ることにした。

包丁すら持ったことがない。
生の肉や野菜を手に持ったことがない。
こんな人間に果たして料理が作れるのだろうか。

人間とは命に関わる危機感さえあれば、どんなことにでも挑戦できる。

まずは料理本を買うところから始めた。
できれば好きなものを食べたいが、なかなか叶う本が見つからない。

よく考えてみると、自分の好きな料理だけが載っている本なんてあるはずがない。

そこで数冊の料理本を買って、トライする料理に付箋を貼った。

最初に作ったのは冷凍餃子。
料理本とは関係ないが、デビュー戦ならこれくらいがちょうどいい。
料理を作ったとは言えないが、ぼくにとってはインスタントラーメン以外の初めて調理だ。

次は本格的にハンバーグ。
何も知らないぼくは、牛肉100%のミンチで作ってしまい、あまりにも美味しかったけど、あまりにも勿体無いことをしたことを後から妻に教えてもらった。

それからは合い挽きミンチで作った。

それからはメキメキと腕を上げて、豚の角煮まで作れるようになった。
手間はかかるが、これはかなり美味しかった。

リゾットを米の状態から作った時は、我ながら感動的だった。

ゴーヤチャンプルはかなり自信があった。
豆腐からいかに水気を出さないようにするかが決め手になる。
ぼくは爆発寸前まで電子レンジで熱して水を出し、さらに豆腐だけを先に炒めてさらに水を抜く。

この一手間で出来栄えが大きく左右される。

そんなこんなで、いろいろなこだわり料理を覚えた。
あれから15年。
家に戻ったぼくは、せっかく覚えたこだわり料理はすっかり忘れて、元のぼくに戻っている。


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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。