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【ショートエッセイ】ラーメンと鍵っ子とトラウマ

ぼくの周りにラーメン好きな人が多い。
そう言うぼくも子供の頃からラーメンが大好きだ。
なぜ好きかと聞かれても理由はわからない。

ぼくが子供の頃、お袋はぼくがラーメンが好きなことを知っていた。
近所の中華料理屋さんに行った時に、小さなぼくがラーメンを食べて破顔してたらしい。

両親は共働きで休みの日も一人で過ごすことが多かった。
小学生の夏休みは長く、毎日一人だった。
朝、仕事に行く前にお袋は、毎日のようにテーブルの上に200円を置いていってくれた。
昼ごはんに近所の中華料理屋さんでラーメンを食べるようにと。
(この当時はラーメン一杯が200円だった。今じゃ、考えられない値段だけど。)

小学生のぼくは意味もわからず、自転車で中華料理屋さんに行って、ラーメンを食べて家に帰った。
美味しかったけど、意味などわかってなかった。
"別にカップラーメンでいいのに"、とすら思うこともあった。

一人で家にいることが、寂しいとか辛いとか思ったことはなかった。
物心ついた時から休みの日は一人だったから。
そんなに気にすることなんてなかったのに。
あの時はそんなことわからなかったから、"ありがとう"の一言すら言わなかった。

その反動なのだろうか。
自覚はなかった。
結婚して自分にも子供ができたら、妻には仕事に行かず、ずっと家にいてもらった。
子供の面倒を押し付けてしまったみたいだが、なぜか、どうしても譲れなかった。

トラウマってやつだろうか。



▼母とラーメンの思い出はこちらにも

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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。