【連続note小説】日向食堂 小日向真司74歳
真司は店には出たが、給仕と会計を主な仕事にした。
料理は吾郎がやることにした。
吾郎は必死で調理をやっていたが、なぜか常連のお客さんたちが離れて行った。
吾郎は一人で悩んだ。
真司は何も言わずに見守った。
とうとう平日とは言え夕ご飯時にお客さんが来なくなってしまった。
これにはさすがに吾郎は堪えた。
吾郎:「オヤジさん、おれの料理の何が悪いんだ」
真司:「いや、悪いことなんか何もない」
吾郎:「じゃ、なんで客が来ないんだ」
真司:「答えは今お前が言った」
吾郎には真司が言ったいることの意味がわからなかった。
真司:「客じゃない、お客さんだ。
おまえが自然にお客さんって言えるようになったら、何しなくてもお客さんの方から来てくれるさ」
吾郎は返す言葉がなかった。
真司:「おまえはおれの料理の真似をしなくていいんだ。
おまえが作る料理を出せばいい。
この店をおまえの店にするんだ」
吾郎は小さく、そして力強く頷いた。
<続く…>
<前回のお話はこちら>
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